第5話

君に気づいちゃった件
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2020/03/08 03:37
神野 葵
神野 葵
神野葵かんの あおい。部活は帰宅部。よろしく
とても落ち着く声
女の子にしては低すぎる。でも、男の子・・・・・・と言われても、少し首を傾げるくらい、透き通っていた
誰なんだろう、ととても気になり、声のした方を向く
私の左隣の席
そこにいたのは、花恋と同じくらい、綺麗な人だった
造作に整えられた、碧のような、黒のような髪
くっきりとした二重に、きりっとした眉
鼻は筋が通っていて、まるで外人のよう
そして立っているからこそわかる背丈は、180超えてるんじゃないかと思うほど
しかも、手足も相当長いし
つまり、イケメンだった
でも、ちっとも唇の端は上がっていない。全く笑ってない
彼が座ると、クラスの女子から黄色い悲鳴があがる
ほーほー
卯月 心春
卯月 心春
(かっこいい子は罪ですねー)
つくづく思う。神様は不公平だと
なんで私の顔は、もっと整ってくれなかったんだろう
まあこちらとしては、目の保養になるから助かるけどね
因みに、神野くんとやらは椅子に座った後、気だるそうに頬杖を着いた
・・・・・・なんだろう。同じ行為なのに私と違って見える
その所作はさながら、王子のようで
何をするにしても美化されるのかなぁとか思いつつ、花恋に視線を戻そうとした時
不意にこちらを向いた、彼と目が合った
ばちっと交じり合う視線
卯月 心春
卯月 心春
・・・・・・・・・・・・・・・
神野 葵
神野 葵
・・・・・・・・・・・・・・・
その2人の間に流れる、沈黙
お互いに無表情だし
いや、目が合うと、ちょっと目を離しずらいんだけど?
とりあえずさっさと花恋の姿を目に入れたかったため、かるーく無視して前を向く
花恋にとって、神野くんは黄色い悲鳴をあげる対象ではないらしく、視線は神野くんの後ろの席の人に注がれていた
真面目ちゃんだね、花恋は
んー・・・・・・やっぱ眠いなあ
でも今寝ると、私の頭に雷が直撃する
その後はお坊さんがお経を唱えるが如く、説教が始まる
うん。これ以上目立ちたくないし
ふわぁっと小さく欠伸をし、うっすらと浮かんだ涙を人差し指で掬い取りながら、長い時間が経つのを待った
─────もちろん、依然と私から目を離さない神野くんに、気づくことはない

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