江口「あなたちゃん。大丈夫?」
そう言ってドアを叩く江口さん。
あなた「はい」
弱々しい返事をして布団にくるまる。
ドアを静かに開けてベッドに近寄ってくる。
そういえば、私
ずっと江口さんの家に居るな
そろそろ帰らないと。
あなた「あの、明日家帰ります。」
そう言うと江口さんは目を見開く。
どうして
どうしてそんな悲しい目するんですか____。
_________________江口さんside
江口「そっか。」
明日家帰ります。
その言葉が自分の頭の中でグルグルと回る
彼女がベッドにいる生活。
約1週間程だろうか?
彼女がストレス性高体温症発表後の活動休止が始まってから
いつもより週刊誌だとかによく追われた。
でも、それが気にならなくなるくらい
家に帰るのが楽しみだった。
おかえりなさい。と返ってくる優しい声
無理に立とうとする彼女を宥める日常
当たり前になりつつあった
終わりは知っていたけれど
出来れば
彼女を閉じ込めておきたい………。
あなた「ちょ、江口さん!泣かないでくださいよ!」
焦っている表情で自分を見る。
今
俺泣いてんだ__。
束縛されたくない。
って俺言ってたのにな。
俺はするとか笑
我儘だな。
でも、
そのわがままを作ったのは
あなたちゃんなんだよね。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。