第38話

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2021/03/16 07:47
私は裕福な家庭で育った
裕福と言ってもたかが知れてる程度だ
普通の家庭よりほんの少し楽に生きれるレベルの裕福さ。
親は何も望まない人達だった。
学力・運動能力・技術力・思考力。
全て何も口出ししてこなかった。
だから私を愛さなかった。
口を出してくるのは愛する人が素敵な人生を送れるようにと願っているからではないだろうか。
自分の人生だから。あなたには自分で考えて育って欲しい。
良くそう言い聞かされていた
でもそれは
綺麗事だ。
あなたがどうなろうと私達には関係ない
そう言っているのと同じだった。
だから愛されてないと思う。
私は、誰からも
_____________________
朝。玄関に向かう。
帰る用意のまとまったバッグ。
江口さんがまとめてくれた物だった。
途中で綺麗に畳んで入れることを諦めたような畳まれた服が入っていた。
照れながらもやってくれたんだろうな。と感じれる下着とか。他にもいろいろ。
私。
残りたいなぁ……
江口「もう帰る?準備できてるよ。」
作り笑いを浮かべながら後ろから優しい声で話しかけてくる。
やだ。帰りたくない。
怖い。
1人になったらまた。
また何か言われる。怖い。
あなた「ひとりにしないで……」
江口さんが目を大きく見開き私を見ていた。
____________________江口さんside
彼女から思いもよらない言葉が発された。
暗い顔で呟き自分の服の袖を引っ張ってくる彼女に動揺する。
江口「え、それh___」
あなた「帰りたくないです!ここに居たいです!みんなと一緒に!いた、い、いたいで、す!いた……い……」
江口「ちょ、落ち着いて!ストップ!大丈夫?何があったの」
駄々をこねるように泣きじゃくるあなたちゃんを宥める
あなた「私、帰りたく、な、いで、す……」
初めて見たあなたちゃんにドギマギしつつ
江口「分かった。いいよ。むしろ居て欲しいくらいだよ。」
そう言って微笑んだ

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