第31話

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2021/03/10 23:48
江口「あ、あなたちゃーん」
そう言ってパタパタと駆け寄ってくる江口さん
あなた「あ、えぐ_______ッッ」
突然息が詰まる
江口「え、ちょ、あなたちゃん?大丈夫??」
江口さんが私の顔を覗き込む
こんなに近くにいたらまた何か言われる。
色目使ってるとか、
江口さんも言われ始めるかもしれない。
それが一番怖いのだ
あなた「いや!!!」
江口さんを両手で押して突き放し、廊下を走ってその場を去る。
離れた人気のない場所まで走ると
おぼつかない足取りで歩きながら
あなた「自分は悲劇のヒロインかよ。」
そう呟き鼻で笑う
その後から記憶はない_。
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江口さんside
江口「あ、ちょ、あなたちゃん!?」
両手で押され、拒絶される。
こんなことする子ではないのに。
何かあったのだろうか。
単純に俺が嫌われたのかもしれないけど
彼女が走っていった方向に俺も走る。
今日はこれで仕事は終わりだし。
そろそろ日が暮れる。
探し出さないと尚更やばい。
外に出ると空は綺麗なオレンジ色に染っていた。
変装するものを何も持たずに出てきてしまった。
まあいいや。
フードを深く被り彼女が行ったであろう方角に進む
もちろん全て勘。
辺りを探しまわるけれど見つかる気配は一向にない。
もう家だろうか。
しかし彼女のケータイも家の鍵も全て現場の中だ。
江口「世話が焼ける後輩ちゃんだなぁ…」
あなたちゃんが行きそうな場所…
人に迷惑かけるの苦手なタイプだしな、あの子。
まぁ、かけたくないならあんな逃げ方しないだろうけど
そこまで考えられないほど余裕がなかったんだう
人気のない道を手当り次第捜すが見つからない
辺りはすっかり暗くなっていた。

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