スーパーマーケットに元気な少年の声が響く。
彼の名前は稲森明日人。全国FFI(サッカー)大会で優勝した、雷門中のFWだった。
今日はかつて決勝で戦った、王帝月ノ宮中のキャプテン、野坂悠馬のお見舞いに行くところだった。
彼は王帝月ノ宮中のサポーター、月光エクストロニクスの"アレスの天秤プログラム"によって、能力が強化された人間だった。
そして、能力を強化した副作用により、脳腫瘍を患ってしまったのだ。
今日はそんな野坂に、お見舞いを選んでいたのだ。
すると横から水を差す声が入る。
彼は1年生の灰崎。かつて明日人とはライバルだった。FFI本戦で王帝月ノ宮中にボロ負けしたことをきっかけで、星章学園から雷門中から移籍した。
決勝では野坂と戦い、明日人も含め、3人でサッカーの楽しさを分かちあった。
明日人は素直に棚にバナナを戻す。
野坂がバナナをナイフとフォークで優雅に食べている姿が脳裏に浮かんだ。
ダメだなこりゃ。うん。
これで決定か、と思われた時に明日人がある人物を捉えた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!