あれから明日人たちは河口湖スポーツセンターの中に入って、説明を聞いた。
そして、スタッフたちと顔を合わせた。
監督の超金雲。
コーチの久遠道也。
栄養管理係には明日人たちが住む、木枯らし荘の寮母、風秋ヨネと
円堂達のマネージャーであった、木野秋。
道也の注意事項を聴きながら明日人は胸を高らなせていた。
その夜のことだった。
イレブンの度肝が抜かれるような出来事が起こった。
始まりはイレブンが夕食をとっている時に急に円堂が立ち上がった時からだった。
みんながギョッとしている。
そんな中明日人はたまらず声をかけた。
すると円堂が屈託のない笑みを浮かべて返してきた。
その言葉を聞いて周りは絶句した。
なぜなら外は____
そう・・・彼の友、風丸が言うように、外は土砂降りだったのだ。
普通ならだれも外には出ないだろう。
なのに円堂は出ようとしていたのだ。
しかしそんな彼の忠告が耳に入っていないのか、円堂は構わずつづける。
まさか自分の方に回ってくるとも思ってもいなかった豪炎寺は、
困惑して眉尻を下げている。
しかし、それにも耳を傾けない円堂は
そう言うなり傘を持って外へ出て行ってしまった。
風のように・・・
今まで黙って見ていた鬼道が、そう呟くと、みんな相槌を打った。
その言葉にみんながつくしの方を見る。
イレブンはただ円堂の無事を祈るしかなかった___________
その同刻__
傘をさした少年______そう、円堂は窮地に追いやられていた・・・
そう、円堂は、円堂は・・・
next
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!