ふと、後ろから声がした。
「そこのLady.明日、お茶会でもいかがですか?」
振り向くとコートを羽織り、頭にはシルクハットを乗せている英国紳士がいた。
「貴方きっと明日暇でしょう?良い紅茶が入ったのですよ。スコーンもサンドウィッチも用意して待っていますから」
と言われた事が頭の中で渦巻く。なぜ?わたしが?そんなことはいいだろう、とても楽しそうなのだから。布団の中に入って楽しみでそわそわしている、まるで遠足前の小学生のように。
午前6時、朝は意外と目覚めが良く眠れなかったのは嘘のようだ。朝起きても無駄なのに、アフタヌーンティーは普通午後3時〜5時頃に行われるいわばおやつタイムみたいなものだ。こんな時間が空いては暇だからお菓子を作ろう。クッキー?マフィン?カップケーキ?わからないけれど自分が好きなものを作ろう。
午後3時、出来上がったお菓子を持って彼の部屋を訪ねる。彼は「ああ、貴方でしたか。どうぞ」と言って部屋に上げてくれる。部屋からは紅茶のいい匂いが香る反面血のような匂いが混ざり合っている。テーブルには1番下からサンドウィッチ、真ん中にはスコーン、1番上にはケーキ。
「紅茶は何にしますか?アールグレイ、ダージリン、イングリッシュブレックファストがありますよ。」
知ってる紅茶名や長い紅茶を言われて頭がこんがらがってる間に「私のおすすめですよ。」と言って淹れてくれた。
ケーキを取ろうとすると「まずは下の段から食べるのがいいですよ。」と言われ一口でサンドウィッチを頬張る。
ふわふわなパンにシャキシャキなレタス、間に挟まっているハムがとても美味しいと感じるだろう。
紅茶を飲む時も「取手には指を通さずにつまむようにした方がいいですよ」と言われて訂正する。
なかなか難しいルールだが優しく教えてくれるおかげで居心地が良い。
スコーンを食べる時は「クロテッドクリームとジャムを塗った方が美味しく食べられますよ。塗るのにはナイフを使って食べる時は手で大丈夫です。」と言われ試行錯誤してみる。スコーンを手に取りジャムを塗る、そしてクリームを塗って手で頬張ると彼はにこにことご機嫌に鼻歌を歌いながら紅茶を嗜んでいた。スコーンはクリームがクリーミーで美味しかった。ケーキを食べようとしたところで思い出すだろう、お菓子を渡していない事に。
思い出したところで渡すと今回で食べるとお腹いっぱいになってしまうからまた今度食べようと言われ、彼にお裾分けして他のサバイバーに配ろうと思う。日が落ちてくる頃お茶会はお開きとなる。またアフタヌーンティーを行いたいと伝えてから。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。