屋上
はぁ…
那須ー、なんか暇じゃね?
ああ
なんかないのかよ…
すると…
ドン!
うわっ!
那須!
ガシッ!
離すなよ…
はぁ…なんだ…?
藤井君、今誰かいなかったか?
ごめん、見てなかった…
誰が…!
重いな…
藤井君、耐えて…!
耐えてるよ…!
そして…
あっ!
うわぁぁぁ!!
那須!
ん?
あっ…
危ない!!
ドン!
はぁ…はぁ…
あれ?なんで無事なんだ…?
那須ー!大丈夫か!?
俺は大丈夫!
なんで助かったんだ…
………
浮所!
えっ?
もしかしてお前が…?
………
よいしょ…
浮所…!大丈夫だ…
那須ー!
保健室に行ってくる!
俺も行く!
ああ!
保健室
またなんですね…
またって…?
藤井君も屋上から落ちた事があったんですよ
藤井君が…?
結構前ですけどね
そうだったんだ…
ガラガラガラ
那須!
藤井君
えっ?浮所…
………
えっ、浮所なんかあったのか…?
さっき俺が落ちた時、浮所にぶつかったんだと思う…
那須は無事でよかったんだけど…
俺が浮所を病院に連れて行く
俺も行くから、無理すんなよ
ああ
病院
………
浮所…
俺の事救ってくれたのか…?
那須、屋上から那須を落とした犯人が分かったんだ
誰だ?
…金指
えっ…?
金指って1年の…
わざとじゃないって言ってるんだよ
ほんとか?
ああ
まぁ…いいんだけど、浮所に悪いことしたなって…
那須は悪くないだろ?
まぁ…
ん…
浮所、大丈夫か?
なんでお前が…
浮所、さっきはごめんな
は…?
お前、屋上から落ちた俺を救ってくれたんだろ?
…ちょっとな
ちょっとじゃないだろ
………
お前がいなかったら、俺死んでたかもしれなかった
助けてくれてありがとうな
…お前を助けた覚えはない
何言ってんだよ、お前、「危ない!」って言ってたじゃないか
………
ありがとう
…お礼はいらない
照れんなって
…照れてなんかない
藤井君
何?
先生が言ってたんだけど、藤井君も屋上から落ちたのか…?
あっ…
…藤井はお前のせいで落ちたんだぞ
俺のせい…?
浮所、やめろ
那須を責めないでやってくれ
…藤井、後悔してんだろ?
………
…正直に話せよ
那須、確かに俺は屋上から落ちた事はある
俺のせいってなんだよ
お前がまだ聴覚障害の時な、急にお前が「死にたい」って言い出してな…
俺が…?
だから、俺は止めたんだよ
そしたら、俺が屋上から落ちてしまったんだよ
そうだったのか…
沙耶が言ってたんだ、那須が「殺す気はなかった」って言ってたって…
………
だから俺は、「つい口から出たんだろ」って言ったんだ
そんな事があったのか…
…お前、覚えてないのか?
聴覚障害の時の記憶は全て消えたんだよ…
けど、過去の事は覚えてる…
じゃあお前、沙耶と付き合ってるってなんで分かんだよ
いや…沙耶になんかしたような記憶だけが、頭に残ってるんだよ
はっきりは覚えてないんだ…
そうか…
藤井君、なんかごめん…
えっ?
屋上から落としてしまって…
いや、那須は悪くない
浮所、あの時、那須の事「殺人鬼」って言ってたよな?
………
殺人鬼…?
…ああ、藤井が助かったからいいんだ
…藤井が死んでたら、殺人鬼なんだよ
殺人鬼って言うなよ
…じゃあなんだよ、「殺す気はなかった」って
「殺す気はなかった」…?
はぁ…
記憶飛んだんだな…
ああ…
ほんとに俺がそんな事言ったのか…?
…ああ
…俺もあの時、屋上に居たんだ
…お前の発言を聞いてしまったんだよ
浮所…
…「殺す気はなかった」って言ったお前が殺人鬼にしか思えなかった
なんでだよ…
…今回は俺が助けてやったから、お前は無事だった
………
藤井の時も、誰かが藤井を救ってなかったら、藤井は死んでたかもしれなかったんだぞ
けど…藤井は助かってる
………
…俺の心配はもういい、帰ってくれ
藤井君、行こうぜ
あ、ああ…
(カーテンが閉まる)
………
終わり
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