暗い雰囲気を変えようとしたのか、リアが大きな声でそういう。
気づけば最年少のマニーヤはすでに食べ始めており、他も少しそわそわしているようだった。
『食べていいの…?』と小さな声でサーヤが問うと、リアとリズが声を揃えて『うん!』と頷く。
それを見た他の子達もご飯を食べ始めた。
出された食事の前で両手を合わせいただきますと呟くと、ゆっくりと食べ物を口へと運んでいく。
別に『檻』の中でまともな食事が出されていなかったわけではない。
毎食決められたものではあったが、食事は充実していたと思う。
めちゃくちゃ失礼だが…今出されたものよりも、だ。
なのに、どうしてだろう。
2人が作ってくれたこの食事は、今まで食べたどんなものよりも美味しかった。
最初は何を言えばいいのか分からず沈黙が続いたが、リズの『お前らの好きなもんってなんかあんの?』という質問をきっかけに一気に話が盛り上がった。
─と、思っていた。
始まりはリズの些細な質問だった。
どうして僕たちが知り合ったか…か。
逃げてから色々なことがありすぎて思い出す暇もなかった。
決して忘れてはならない人物…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。