僕は顔を伏せ、とても小さい声で謝罪をする。
ちらりとリズの顔を見てみると、とてもケロッとしていて
『お腹空いてるでしょ、これ作ったからさ。沢山食べて!』
と、僕たちを机のある方に案内するとそこに座らせ、笑顔で上記を言う。
目の前の彼女らを疑っている訳では無いが、助けてもらった上に食事まで。と咄嗟に遠慮してしまう。
何よりこんな森の中、ましてや捨て子だと言う2人に、食料調達は中々困難なことだろう。
__などと色々考えていたのは、彼女から衝撃的な言葉を聞くまで。
唐突に来たその言葉に、僕はガタッと音を立てながら椅子から転げ落ちる。
周りも、何故知られているか とでも言うように大きく目を見開き、2人を見ている。
『どうして貴方達がそれを知っているの?』
震えた声でエレナが質問をする。
その質問に答えたのはリズだ。
リズは、机に肘をついたままへらへらとそう述べる。
僕らが…話題の的?
号外…檻から子供たち…
…迂闊だった。逃げることで精一杯で、逃げたあとのこと、何も考えてなかった。
__僕たちが、時が止まったかのように微動だにしなくなったからこその言葉だったのだろう。
ニカッと笑いながら、彼はそう言う。
その笑顔は、雲ひとつない空のように明るかった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。