ついでに手拍子まではやし立て始めた。
あたしは思いっきりイスを蹴って立ち上がった。
・・・・・・・・・と叫んだつもりで口を動かす。
実際には叫んでないですごめんなさい。
誰も止める人が居ないので、
トオル達はテンションを上げて騒ぎまくる。
安達さんはこわばった顔で山盛りホコリまみれの麺を見つめている。
その時、聞き覚えのある声がした。
トオル達が振り返る。
そこに立っていのは、定食のトレイを持った廉だった。
と、あたしはまたまた小声で言った。
だがそれは廉には届かなかったようだ。まあ当たり前か。
トオルにすごまれても、
廉は表情1つ変えずに言い放つ。
廉につかみかかろうとするトオルとヒロシ。きゃーっ!
だが、その2人の手は、後ろから伸びた太い2本の腕で
つかみ止められてしまった。
渋い声で2人を止めたのは、この学食の名物オヤジだった。
元プロレスラーだとか力士だとかの噂がある、
超コワモテかつガチムチの。
オヤジは軽々とトオルのえり首をつかんで持ち上げると、
廊下へと去って行った。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。