今日廉くんが言ってた記者会見が始まった。
そこであたし達の交際がはっきりと公表された
あたしは、舞台裏でこっそりと見ていた
たくさんの、報道陣のなかに自分の知っている顔が見えた
とても近く、とても嫌な存在
会いたくなかった
記者会見からあたしは、すぐに廉くんに駆けつけた
顔さえ見たくなくて
逃げるように廉くんの元へ駆けつけた
心配してくれる横顔がとても美しかった
あたしは、前廉くんに言ったことがあるがまた説明をした
あたし達の交際については、解決したのに
今度はあたしが……
迷惑かけちゃってる
その言葉ほど今のあたしにとったら嬉しいものは無い
だけど……
この記者会見のことだってそう
あたしが発端だ
今回も……
優しい言葉なのに、嬉しいのに何故かあたしは泣いていた
そう言って抱きしめてくれた
その温もりは、とても暖かく優しかった
やっぱ落ち着くな……♡
そしてどんな時でも、無邪気に笑えるこの空気とここにあなたがいること
それがあたしの幸せ
だけどここが無くなったらあたしどうなるんだろう
そんなことを思いながらも一日を過ごす
廉くんがあたしを見つめる
なんのことだろう……?
全く知らない
だって、切れた縁だと思ってたから
誰も想像しなかった
お母さんになんて言おう……
『お父さんが帰ってきたよ』
『逃げなきゃ!』
『警察行こう?』
どれがいいんだろう?
どんな言葉も、合わない
きっとあたしにあうことばなんて無いんだ
どんな言葉も当てはまらない
なんて言おう……
何も見つからない
どうすればいいの?
あたしの中の時計の針が止まってしまった瞬間だった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。