あなた
フーッ落ち着いて、6歩だったから多分スパイクサーブだ。
侑はボールはふわっと上げ、そこから勢いでボールを押した。
ーバシンッー
『ッ!…
クソーッ!』
ボールは大きな音を立てて、僕の腕に当たり、岩泉さんの方へ飛んでいった。本当は治のほうに返すつもりだったのに…
おっと、反省してる場合じゃない!
僕は治より早めに攻撃に出た。
結局スパイクは理が打った。
『すんません』
岩「何がだ?」
『いや、ミスって岩泉さんの方へボール、あげちゃったじゃないですか』
岩「あれは侑くんのサーブだったししょうがないんじゃない?」
『?どのサーブでも受け止めたほうがいいじゃないですか』
岩「おぉた、確かに」
『とにかく次回ってきた時はがんばるんで!』
岩「よろしく!」
よし!次はきれいにあげる!……
そう気合を入れればいいんだけど…
治「がんばれ、サーブ。入れればいいんや」
『う、うん』
治「別に外れても、怒らんから思いっきり行ってこやあ」
『わかってるよ、言いたいことは。大丈夫!じゃあ挑戦してネット当てて手前に落としてみるよ!』
治「おん、頑張って」
こういう時、仲間って心強いな。
よーし!いっちょかましますか!無理だけど、でもやらないよりかはマシ!もう成長できないのは嫌だしね。
よし、ネットにほどよくに当てる。
僕はふわっとボールを上げて、手を振り下ろした。
ーバッー
『んー!惜しくない?』
ポールはネットの上のほうに当たったがギリギリ落ちてしまった。
もーっ今のよかったのに!
治「でも今のよかったんやない?」
『そう!そうなの!今までで1番いい!』
前より少しは上達したと思う!僕は!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!