(hkt side)
屋上でこいつが倒れてから、2時間たったが、今だに起きる気配はない。
(hkt)「そういえばこいつ何か言いかけてたな。10年前、部活で足?だっけ。」
10年前といえば、俺は15歳。つまりは中学三年生のときだ。サッカー部に所属していて、6月の現役最後の試合のために猛練習してたっけな。
でも、不思議なことに、中学三年生のときの俺の記憶は、一部が靄がかかったみたいに一時期のことを忘れてしまっている。部活練習して、次に思い出せるのは、9月の新学期だ。
この間に目の前のこいつと出会った鍵があるのだろうか?考えれば考えるほど、宇宙の果てを考えているみたいな感覚に陥ってしまう。そんなことを考えているうちに、ここんところの疲れが出たのだろうか。次第に瞼が重くなっていき、気づけばソファによっかかりながら深い眠りに落ちていた。
(寧々side)
??「寧々。俺はどんなことがあってもお前のことを忘れない!だから、お前も生きろ!また会おう。」
はっと、目が覚めた。カーテンを開けたまま寝てしまったらしく、朝の温かい日差しが部屋全体を照らしていた。
なぜ、私はほっくんの部屋にいるの?
昨日のことを頑張って思い出そうとしても、思いだせそうで、思い出せない。でも、変わらないのは私が“ほっくん”というもう1度だけ会いたい人のもとに、戻ってこれたこと。
あ、ほっくんに言ってないけど、私はこの世のものではない。もうとっくに死を迎えている人間。
10年前に死んでしまっているから、もし生きてたら“ほっくん”と同い年くらいになっているのかな?
ふと、視線を下の方にずらすと、ソファに背を持たれるような形で、ほっくんが眠っていた。
10年前より、少し大人になった、そしてかっこよくなったほっくんの顔を眺めながら、私はほっくんと出会ったときのことを思い出していた。
第4話は続く……。
さて、皆さんは寧々の正体になんとなく気づいてきたのではないでしょうか?次回も寧々sideが続きます。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。