(hkt side)
??「私はね〜、寧々!!」
寧々……。どこか懐かしいような、そんな感覚に陥る名前だった。顔も知らない、初対面の彼女に。
(hk)「名字は??あるだろ。」
(寧々)「ん〜、あるけど、またそれは今度ね!どっちかわかれば結果オーライでしょ?一気に知ろうとするのはよくないよ“ほっくん”。」
その“ほっくん”を聞いた瞬間、俺の心臓はドクンと大きく波打った。なぜだ?なんでこんなに苦しい。どうしてこんなに彼女を懐かしんでしまうのだろうか?そう考えていると彼女はとんでもないことを言い出す。
(寧々)「危ない危な〜い!!!ほっくんと話してて、大事なこと言うの忘れてた!寧々はね、寧々の本来の目的は、ほっくんに大事なことを思い出してもらうために会いに来たの。っていっても、その大事なことはなんだか、わかるよね?」
手を後ろに回しながら、俺を下から覗いてきた。
(hkt)「………。ごめん。わからない。」
(寧々)「ええ!?嘘でしょ!?じゃあ、ヒント!今日、ほっくんは私が現れなかったらどういう結末を迎えていたでしょうか!」
なんとなくわかった。そういうことか。
(hkt)「命か。」
(寧々)「そう!正解!!」
なんだそんなことか。じゃあ、つまり死ぬという選択をしないとこいつと約束すればこの意味わからない状況を脱することができるのか。そんなことを考えていると彼女は
(寧々)「あっ!!今、『はい死にません。約束します』って言えば、この面倒くさい状況から解放されると思ったでしょ〜!?残念!そんな簡単にはいきませ〜ん!!」
は?何だこいつ(本日2回目)…。
(hk)「いやいや、今の流れだとそういうことだろ!?で、急に現れたお前は消えてみたいなエンディングだっ」
“だろ”そう言おうと思った矢先、彼女の口から言葉が発せられた。
(寧々)「(ボソッ)それだと安心できないよ。」
(hk)「ん??」
(寧々)「それだと意味ないでしょ??今日立ち止まったとしても明日は?明後日は?一ヶ月後は?また、今日みたいに特に理由がないけど、急に死にたくなる、そんな日が来るんじゃないの!?そんなエンディングをほっくんには迎えてほしくないの。まだ、こっちの世界に来ちゃだめなの。まだ、やることいっぱいあるでしょ?メンバーは?デビューしたばかり。未来はたくさんあるんだよ!」
さっきまでの彼女と一変し、堰を切ったように俺に訴えかけてきた。なんで、今日初めてあった人にここまで、俺の人生に口を出されなきゃいけないんだ。
(hk)「なんでお前にそこまで言われなきゃいけないの?」
(寧々)「さっき、ほっくんに会ったことあります。って言った。」
(hk)「でも俺は覚えてない。君みたいな子にあったことなんてない。」
そう、俺が言ったあと、一瞬空白の時間が訪れた。その状況を破ったのはまたもや彼女だった。
(寧々)「ほんとに、ほっくん、ほんとに覚えてないの?」
(hk)「だから、覚えてないって。」
そういった後すぐに、俺の両腕を掴み、目を見て
(寧々)「私は、私はね、10年前、君が部活で足を、……、つっっ!!?」
そこまで言った彼女は、突如、こめかみを押さえて俺に倒れ込んできた。
(hk)「おい、おい大丈夫か?おい!!」
どれだけ揺さぶっても起きる気配はない。ここにおいて行くという判断もできるが、さすがにそこまで俺も冷たい奴ではないので、とりあえず俺の部屋に運ぶことにした。
第3話へ続く……。
次話、少し寧々side入るかもです。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。