第13話

鬼滅の夢⑪
86
2020/05/30 16:44
美空
美空
これで本当にいいんだろうか
なんの変哲もない紙に

思いと”魂”を込めて書きなぐった文字は

姿が変わっていき

気がつけばノートの1ページへと変わった
茉桜
茉桜
いいんじゃない、きっとこれでこの世界は終われるよ
美空
美空
そうですね、終わらせないと……
書き上げた紙を抱え

先に用意していた不死川さんと共に

炭治郎の元へ急ぐ
どうか、どうか間に合ってください

そして勝手に終わらせる身勝手さを許してください
────────────────
花澄
花澄
はぁ……やっと倒せた……
雪華
雪華
鬼滅隊員はもうすぐ来るみたいだよ
花澄
花澄
炭治郎は無事?
雪華
雪華
うん、木の影に寝かせてる
花澄
花澄
まったく、あの子のせいでだいぶおかしなことになった
雪華
雪華
少々不安になる展開でしたよね
(なまえ)
あなた
あっ!炭治郎さん発見しましたぁ!
(なまえ)
あなた
急いでください、早く!
花澄
花澄
………戻ってきやがった
雪華
雪華
あ、でもちゃんと鬼滅隊員みたいですよ
花澄
花澄
だとしたら善逸の頑張りに乗っかったってことか
花澄
花澄
より嫌な女だな
雪華
雪華
花澄さん、アレもしかして………
花澄
花澄
ん?え、二人と不死川が一緒に……?
雪華
雪華
ど、どうしたんでしょうか
花澄
花澄
とにかく近付いてみよう
─────────────────
(なまえ)
あなた
あれ?被害者さんどうしたんですか?
(なまえ)
あなた
こんなところまで来たら危ないですよ?
顎の下につけたグーの手

水分多めなうるうる瞳

完璧な[か弱くて守られる立場の女の子]だ
でも、この世界にいるには

力が弱すぎる
不死川さんを見ると、静かに頷いて合図をしてくれた

最後の勇気を出して

ギュッと紙に力をこめる
美空
美空
『■■■ちゃんへ
美空
美空
そろそろ新しい小説書きたいから終わらせたいな
美空
美空
・メタな終わり方をさせる
・主人公を消す終わり方をやらせる
美空
美空
どっちがいーい?
美空
美空
明日聞くね!』
シーン……と無言の空気が流れ

背中には冷たい汗が流れる

だが、まだ私は続けなくてはならない
必死にテレパシーでセリフを送ると

近くから焦ったような草の擦れる音がした
雪華
雪華
『うーん、私は2番の方がいいかな』
おずおずと、といった様子で草陰から出てきた第三者に

”主人公”の顔色が変わった
美空
美空
『そう?なら2番にするね』
雪華
雪華
『うん、次はなににする?』
美空
美空
『途中だったし成り代わりの方を進めようよ』
(なまえ)
あなた
やめて
美空
美空
『ノートは私がしまっとくね!』
雪華
雪華
『了解!』
(なまえ)
あなた
やめてよ
美空
美空
最終回、新たな世界
(なまえ)
あなた
やめろって言ってるでしょ!!
私達以外は話していない、誰も動かない空間の中で

あなたの声は、ハッキリと全員に聴こえた

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