手厚い治療をされ
大人しく与えられた部屋に転がる
女が集まれば姦しい(かしましい)とはよく言ったもんで
名前を呼ぶ、それだけのことで
私達はキャッキャと騒いでいた
ふと、足音が部屋に近づいているのが聴こえた
近くの部屋に誰かきたのだろうか
だがそれにしてはあまりにも近づいているような
伊之助「ここか!部屋は!」
善逸「待って、その部屋誰か居るから!!」
バーンッと大きな音をたてて戸が開く
そこには液晶の向こうで見知った顔があった
しかし、ここは女子だけで休んでいた部屋
善逸「ごめんなさいっ!!!なにも、本当になにも見てないから!!!」
いきなりのことに悲鳴をあげるのが定番だろう
善逸「そ、そうだね!?ごめんなさい!!」
戸が閉められ
ふーっ、と誰かが息をつく
漫画のキャラクターに会ってしまった驚きを
いきなり人が入ってきた故の驚きとして誤魔化す
なんてったって相手は五感組のメンバー
警戒してもしきれないくらいだ
全員で耳を澄ませ
精一杯、隣の部屋の声を聞く
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。