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第8話

あぁ、面倒くせぇ side.来栖
【ストーカー対策室】

───夜。

最近になって、厄介なストーカーに悩まされている被害者を担当することになった。

調査や、資料作りでの残業が増えたが、栞那が忙しくしている今、俺も忙しいくらいでちょうどいい。

会えない時間を無駄にあーだこーだと考える必要もない。
来栖
来栖
…………
ふと、忙しく仕事に追われ、ずっと確認していなかったスマホが視界にはいる。

きっと、栞那から返信が来てるだろうと思いながらも中々確認する手が伸びないのは、最後に送った暴露メッセージを今更ながら後悔してる自分がいるからだろう。

……言わねぇつもりだったのに。
来栖
来栖
……はぁ
大野
大野
最近やけにため息多いぞ?
大丈夫か?
来栖
来栖
大野さんの人使いの荒さに
問題があるんじゃないっすか
大野
大野
人使いが荒いなんて
人聞きが悪いなぁ〜
頼りにしてるってことだよ
来栖
来栖
そりゃどうも。
期待に添えるよう頑張ります
相変わらず調子のいい大野さんに悪態をつきながら、スマホに手を伸ばした俺は、新着メッセージの中からいとも簡単に栞那の名前を見つけた。
1つは俺への返信。

【来栖さんの記憶にだけ残ってズルい😤
私の記憶に残らないキスはノーカンの法則!】

フッ、と小さく漏れる笑い。
栞那が高校を卒業するまで我慢するつもりでいたのに、寝顔にうっかりキスするようじゃ、俺もまだまだだ。
そのまま視線は下へと流れて、2つ目のメッセージに一瞬目を見開いた。
【”してる風”って指示が出たおかげで
実際にキスしなくて済んだよ!】
来栖
来栖
……っ
一瞬で、肩から力が抜けて行く。
今日一日、ずっとずっと気になって仕方なかったキスシーン。

栞那の仕事のことは、理解してるつもりだし、これから本格的に女優として活躍することになれば、キスシーンなんて何度も経験するんだろう。

……分かってはいても、やっぱり良い気はしねぇな。
大野
大野
さっきから、何1人で百面相してんだ?
来栖
来栖
してませんよ
大野
大野
そんな悩むくらいなら
さっさとキスしたらいいのに
来栖
来栖
……っ、
何でそうなるんですか?
大野
大野
え、……無意識!?
今日は朝からため息とセットで
キスがどーたらって何度か言ってたから
「てっきりキスのことで悩んでんだとばっかり思ってたんだけど」と、ニコニコしている大野さんに絶句する。

……嘘だろ。
声に出てたってことかよ。マジで有り得ねぇ。
大野
大野
歳下とは言え、
お互い想いあってるわけだし?
キスくらいどーってこと
来栖
来栖
俺の事より!
大野さんは自分のこと考えて下さい
大野
大野
……っ、俺?
来栖
来栖
早く捕まえねぇと。
歳上の女性は待ってくれませんよ
どう考えても栞那のマネージャーに気があるだろう大野さんは、持ち前のキャラを活かして仲良くなることには成功したらしい。

でも、いつまで経っても友達以上には進展しない。
大野
大野
……!!
や、やっぱりそういうもん!?
来栖
来栖
さぁ?
俺、歳上と付き合ったことないんで
大野
大野
薄情だぞ、来栖〜!
もっと親身になれよ〜
来栖
来栖
……にしても、遅すぎるな。
休憩に出てからもうすぐ1時間だ。
俺、新米女、引っ捕まえてきます
泣きつく大野さんを残し、俺は仕事を放ったらかしで休憩から戻らない新米女を探すべく対策室を出た。
***
来栖
来栖
───っ!?
対策室を出てすぐ、突然横から勢いよく腕を引かれ、バランスを崩した俺は腕を引かれるがままに給湯室の中へと足を踏み入れた。
中野 紗彩
中野 紗彩
来栖先輩!
来栖
来栖
……っ、お前かよ。
たく、驚かせんなよ
目の前で俺の腕を両手で握りしめているのは、相変わらず派手な髪色でミニスカートを貫く新米女。
中野 紗彩
中野 紗彩
来栖先輩、本当に倉木栞那と
付き合ってるんですか?
来栖
来栖
……さぁな
中野 紗彩
中野 紗彩
じゃあ、質問を変えます!
ムッとした様子で俺の腕を握りしめる新米女の手を、痺れを切らした俺は振りほどいた。
来栖
来栖
業務に関係のない話しかしないなら
早く仕事に戻れ
それだけ告げて仕事に戻ろうと背を向ければ、今度はギュッと強く背中に抱きつかれて身動きが取れなくなる。
中野 紗彩
中野 紗彩
彼女と別れて
私と付き合って、来栖先輩
中野 紗彩
中野 紗彩
さっき、大野先輩と話してるの
聞いちゃったんです。
キスもさせれくれない彼女なんて……
来栖
来栖
……俺が手ぇ出せないだけだ
中野 紗彩
中野 紗彩
えっ?
来栖
来栖
それくらい、大事に思ってんだよ。
分かったらさっさと仕事に戻れ新米
中野 紗彩
中野 紗彩
何それ……
今度こそ中野を振り切って、俺は大野さんの待つ対策室へと歩き出す。

俺にしてはかなり優しく諭したつもりでも、きっと新米女にはなにひとつ伝わってないだろう。

……今、無性に栞那の声が聞きたい。
───欲を言えば、

会って、顔を見て、「苦しいよ!」って怒られるくらいキツく抱きしめたい。