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第16話

かおるちゃんの幸せ
……天秤にかけてみて?

さっきの言葉が頭の中を繰り返しぐるぐると回って、出口の見えない迷路へと迷い込む。

私の幸せと……来栖さんの幸せ。
天秤にかけるって、なに?
小林 かおる
小林 かおる
……栞那。
今、ちょっと話せるかしら
栞那
栞那
……え?
うん、大丈夫だよ。
どうしたの、そんなに改まって
もうすぐドラマの打ち上げが始まる、そんな時。
かおるちゃんがやけに真剣な声色で私に話しかけるから、変に身構えてしまう。

頭をよぎるのは、この間の”お見合い話”。
ドラマのクランクアップを迎えた今、ついにかおるちゃんは私から離れて、地元に戻ることを決めたのかもしれない。

覚悟していたはずなのに、心は追いつかない。

でも、かおるちゃんのためにも、笑顔で受け止めてあげなくちゃ。泣かない。絶対、泣かないんだから!
小林 かおる
小林 かおる
実はね、
───ゴクリと喉を鳴らして、かおるちゃんの次の言葉を待つ。
小林 かおる
小林 かおる
私、大野くんと結婚を前提に
お付き合いすることになったの
栞那
栞那
……え、えぇ!?
小林 かおる
小林 かおる
だからこの仕事は辞めないし、
これからもずっと栞那のそばにいる
栞那
栞那
ほんとに!?
小林 かおる
小林 かおる
ほんとに
栞那
栞那
よか、……った
嬉しくて、嬉しくて……
どんどん視界がぼやけて滲んでいく。

私のそばにこれから先も当たり前のようにかおるちゃんがいてくれるんだって思ったら、心強くて、幸せで、胸がいっぱいで、言葉にならない。

……そっか、やっとやっと結ばれたんだ。
小林 かおる
小林 かおる
私の方が歳上だからって、
どこかで諦めてたけど。
大野くんが言ってくれたの、
小林 かおる
小林 かおる
……私を好きだって。
誰より幸せにしてくれるって
「信じて、ついてくって決めた」そう言って、本当に幸せそうに笑うかおるちゃんに、涙は止まることを知らない。

大人な女性だとばかり思っていたかおるちゃんが、大野さんの話をしてる時だけはただの女の子に戻っていて、素直に可愛いなぁって思う。
栞那
栞那
どうしよ、
自分のことみたいに嬉しい〜!
栞那
栞那
おめでとう、かおるちゃん!
幸せにしてもらってね!
小林 かおる
小林 かおる
ありがとう、栞那〜!
……って、今すぐ結婚する
わけじゃないんだけど、ね
栞那
栞那
それでも!!
2人が結ばれてくれたことが
この上なく嬉しいんだもんっ
小林 かおる
小林 かおる
私は、これからもずっと
栞那のそばにいられることが
すごくすごーく嬉しい
栞那
栞那
……っ、私も!!
いつからだろう。
かおるちゃんが、ただのマネージャーからお姉ちゃんのような存在になったのは。

大好きなかおるちゃん幸せは、私の幸せだよ。
***

打ち上げが始まって、30分。

監督の挨拶や、メインキャストの挨拶が終わり、あとは思い思いに過ごす立食パーティーと化した。

共演者たちと挨拶を交わしながら、オシャレな料理を楽しむ私。

あぁ、本当に終わったんだな〜。
池松 煌
池松 煌
おつかれ
栞那
栞那
あ、おつかれ
池松 煌
池松 煌
どう?初主役ドラマを終えて
栞那
栞那
やり切った感と、寂しさ
……って感じかな
池松 煌
池松 煌
やっぱ、どの作品でも
終わったあとは寂しい
栞那
栞那
え!?
……池松煌も、寂しいとか思うの?
池松 煌
池松 煌
俺レベルになっても
終わりが来るたび寂しさはある
栞那
栞那
俺レベル……って、
私が言ってるのはそういう意味じゃ
私の話を聞いているのか、聞いていないのか。
池松煌は、手に持っていたお酒をグイッと一気に飲み干す。

そうか、意識してなかったけど、池松煌も私より大人なんだっけ。
池松 煌
池松 煌
あーあ。お前のせいで、
俺の不敗記録に傷がついた
栞那
栞那
……?
不敗記録って、なにそれ
池松 煌
池松 煌
キスして泣かれるなんて
初めてだったってこと
───っ!!

池松煌はきっと、ラストのキスシーンのことを言ってる。ってことは……あれが”嬉し涙”じゃないことに池松煌は気付いてたってことだ。
栞那
栞那
……気付いてたんだ
池松 煌
池松 煌
次、一緒に仕事する時は、
お互いに今作よりもっと、
成長した姿で会おう
栞那
栞那
……うん!
負けないからね
初めてあった日と、今日この瞬間では、池松煌に対する気持ちが全然違う。

アドリブばっかり仕掛けてきて、撮影中すごいいじめられたけど、おかげで私のスキルアップにも繋がった。

次に池松煌に会った時、もっとレベルアップした私で胸を張って会えるように、モデルとして、女優として、これからも頑張らなきゃ。

私にとって、いつの間にか良きライバルになってた。