~あなたサイド~
宇髄先生に車で送ってもらって
登校する月曜日。
教室に入ると騒ぎになっていた。
ざわっ…
ガタン…
わたしは机にぶつかりながら
教室を飛び出していた。
はぁっ…
辞めさせられる!?
まだ、ちゃんと話もしてないのにっ…
ガラッ…
体育教官室には、誰もいなかった。
はぁっ…
ガラッ…
学園長室に駆け込んだ。
息が上がっているのと涙で、
うまくしゃべれなかった。
義勇くん、わたしのこと…。
でもそれじゃ…
このまま離ればなれにっ…!!
すると、学園長室の窓から、
荷物を持った義勇くんが、
玄関から出て行くのが見えた。
錆兎先生が一緒だ。
人目もはばからず走った。
義勇くんと話したい、
その一心で…。
そして、正門前。
錆兎先生の手をふり切って、
わたしが義勇くんの胸に飛び込むと、
義勇くんは荷物を捨てて、
わたしを抱きとめてくれた。
義勇くんが、わたしを強く抱きしめた。
強く…
強く…。
ああっ…離れたくないないよっ…!!
こんな形で引き離されるなんて。
ただ…
義勇くんを愛している…
そばにいたい…
それだけなのに…。
学校のみんな、
それにマスコミの人…
みんなが固唾を飲んで見守っていた。
でも…
もう全部どうでもよかった。
わたしには、義勇くんがいさえすればいい。
義勇くんが…。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!