第35話

一方、義勇は…
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2020/11/17 07:00
~義勇サイド~

あなたに会いたい…
今ごろ自分を責めているだろう…。

だがもしあなたに会っているところを
マスコミに撮られたら、
それこそ世間の好奇の的だ…。
冨岡義勇
冨岡義勇
あなた…
おまえは何も悪くない…

それだけでも言いたい…
冨岡義勇
冨岡義勇
長年の俺の想いを
受けとめてくれて、
感謝しかない…愛している…
とにかく朝、
あなたが登校するのを待とう。

そう思っていた矢先、
緊急職員会議が開かれ、
あなたに会うことは叶わなかった。

***

職員会議。
学園の教師
何てことをしてくれたんですかっ…

我が校始まって以来の不祥事ですよ
学園の教師
学園長!
よりによってあなたの身内ですよ
あなたの祖母
すべてわたしの責任です
学園の教師
知っておられたわけですよね
あなたの祖母
はい…
学園の教師
冨岡先生も、
何とか言ったらどうですかっ
冨岡義勇
冨岡義勇
俺は、真剣にあなたを愛している

長い間、側にいるのが当たり前で、
結婚を申し込んだのも俺の意思だ
学園の教師
はぁっ…?
学園の教師
話にならん
学園長は悪くない。
糾弾したいなら、俺を糾弾すればいい。

だが何を言われても
俺のあなたへの愛は変わらない。
不死川実弥
不死川実弥
よせぇ…寄ってたかって
いい大人がよォ…
冨岡義勇
冨岡義勇
不死川…
不死川実弥
不死川実弥
こいつらは…
冨岡とあなたはなァ…
おまえらが思ってるような
淫猥な関係じゃねぇ
学園の教師
教師と生徒ですよ
世間はそう思わんでしょう
不死川実弥
不死川実弥
長年お互いを、
支え合ってきたんだ
学園の教師
ですがっ…
不死川実弥
不死川実弥
…るせぇ
不死川が助け船を出してくれるとは…。
冨岡義勇
冨岡義勇
いいんだ不死川
すまない…ありがとう…
不死川の気持ちが、
素直にうれしかった。
錆兎
錆兎
詳しい事情がわからないことには
どうしようもないだろう

会議は終わりましょう
冨岡義勇
冨岡義勇
錆兎…
あなたの祖母
冨岡先生は、しばらく
自宅待機していてください
冨岡義勇
冨岡義勇
はい…
わかりました
あなた…。
会いたい…。
会議が終わり…
不死川実弥
不死川実弥
しばらく俺んちに泊まれぇ…
冨岡義勇
冨岡義勇
…いいのか?
不死川実弥
不死川実弥
家の前も、クソみてぇな
マスコミ張ってるんだろォ?
冨岡義勇
冨岡義勇
すまない…恩に着る
不死川実弥
不死川実弥
んなことに恩とか
感じてんじゃねぇよ
冨岡義勇
冨岡義勇
ああ
不死川の好意が素直にありがたかった。
やはり友なのだ…と身に染みる。
錆兎
錆兎
義勇、ちょっと話せるか?
体育教官室で
冨岡義勇
冨岡義勇
錆兎…
おまえにはきちんと話したい
そう思っていた
錆兎
錆兎
なら話は早い
行くぞ


俺は、体育教官室の椅子に
腰をかけた。

錆兎が、コーヒーを入れ、
俺の側に腰をかけた。
錆兎
錆兎
ほら…飲め
冨岡義勇
冨岡義勇
すまない…

温かいな…
しばし沈黙が走る。
錆兎
錆兎
あなたちゃんだったんだな
おまえの奥さんてのは
冨岡義勇
冨岡義勇
ああ
きちんと紹介せず、すまなかった
錆兎
錆兎
まったくだ、水くさい
冨岡義勇
冨岡義勇
錆兎…
錆兎
錆兎
思えば、おまえの口からは
あなた、あなたっていつも…

そんなおまえが、他の女を
奥さんにするわけなかったんだよな
冨岡義勇
冨岡義勇
まあ…/////
そうなんだが…
錆兎
錆兎
ちょっと考えればわかることなのに、
今まですまなかった
冨岡義勇
冨岡義勇
待て…なぜ錆兎が謝る
きちんと話さなかったのは
俺の方だ
錆兎
錆兎
いろいろ悩んだこともあったろう
力になれなくてすまなかったな
冨岡義勇
冨岡義勇
よしてくれ、錆兎
眉を下げ、俺にほほ笑みかける錆兎は
これまでと変わらず、
優しく親しみのある笑顔だった。
錆兎
錆兎
小説…
俺も読んでいいか?
冨岡義勇
冨岡義勇
もちろんだ
ここにある

是非読んでくれ
俺は、かばんの中から
あなたの小説が載っている、
小説文壇最新号を取り出すと、
錆兎に差し出した。
錆兎
錆兎
今度、あなたも呼んで
一緒に食事でもしよう

真菰も連れてくるから
冨岡義勇
冨岡義勇
ああ
錆兎
錆兎
義勇、負けるなよ!
あなたちゃんを守れるのは
おまえだけだからな!
冨岡義勇
冨岡義勇
…ああ!もちろんだ
ありがとう錆兎…。

俺を勇気づけてくれるのは
あの頃も今も、おまえだ…。

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