~義勇サイド~
あなたに会いたい…
今ごろ自分を責めているだろう…。
だがもしあなたに会っているところを
マスコミに撮られたら、
それこそ世間の好奇の的だ…。
とにかく朝、
あなたが登校するのを待とう。
そう思っていた矢先、
緊急職員会議が開かれ、
あなたに会うことは叶わなかった。
***
職員会議。
学園長は悪くない。
糾弾したいなら、俺を糾弾すればいい。
だが何を言われても
俺のあなたへの愛は変わらない。
不死川が助け船を出してくれるとは…。
不死川の気持ちが、
素直にうれしかった。
あなた…。
会いたい…。
会議が終わり…
不死川の好意が素直にありがたかった。
やはり友なのだ…と身に染みる。
俺は、体育教官室の椅子に
腰をかけた。
錆兎が、コーヒーを入れ、
俺の側に腰をかけた。
しばし沈黙が走る。
眉を下げ、俺にほほ笑みかける錆兎は
これまでと変わらず、
優しく親しみのある笑顔だった。
俺は、かばんの中から
あなたの小説が載っている、
小説文壇最新号を取り出すと、
錆兎に差し出した。
ありがとう錆兎…。
俺を勇気づけてくれるのは
あの頃も今も、おまえだ…。
Next「救いの手」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!