第37話

小説という武器
2,381
2021/07/16 10:57
~あなたサイド~

わたしは宇髄先生の家で
お世話になることになった。

さすがは、売れっ子小説家。

宇髄先生の家は、高い外壁に囲まれ、
伝統的な屋根瓦が見事な、
立派なお屋敷だった。
あなた
すごく立派な梁ですね…
宇髄天元
宇髄天元
良さがわかるか
まあ好きにくつろいでくれ
あなた
ありがとうございます!
宇髄先生の嫁(雛鶴)
宇髄先生の嫁(雛鶴)
天元さん、こちらは?
宇髄先生のお嫁さん…かな?

先生に勝るとも劣らぬ、
明るくて派手な美人さんが
出迎えてくれた。
あなた
こ、こんにちはっ…
宇髄先生の嫁(雛鶴)
宇髄先生の嫁(雛鶴)
こんにちは!
宇髄天元
宇髄天元
四人目の嫁を連れてきた
派手に世話を頼む
宇髄先生の嫁(雛鶴)
宇髄先生の嫁(雛鶴)
あら、かわいい♡
あなた
えっ…嫁?
宇髄天元
宇髄天元
ふっ、冗談だ
おまえには冨岡がいるからな
あなた
…ですよね/////
でも四人目って、どういう意味かな。
お嫁さんが三人いるの??


…そんなわたしの疑問を見透かしたように
宇髄先生のお嫁さんが教えてくれた。
宇髄先生の嫁(雛鶴)
宇髄先生の嫁(雛鶴)
わたしは雛鶴よ

天元さんにはね、わたしの他にも
あと二人、妻がいるのよ♡
あなた
えっ…と
宇髄先生の嫁(雛鶴)
宇髄先生の嫁(雛鶴)
日本では重婚はできないから
言ってみれば、内縁の妻ね
あなた
内縁の妻
籍は入れてないけど、
事実上は妻ってことかな?
宇髄先生の嫁(雛鶴)
宇髄先生の嫁(雛鶴)
だって、天元さん素敵でしょ♡
あんな素敵な人を独り占めなんて
もっないないわ
あなた
確かに素敵ですけど…
宇髄先生の嫁(雛鶴)
宇髄先生の嫁(雛鶴)
でしょ!!
だからわたしたちみ~んな、
天元さんを愛し、愛されているのよ
あなた
そ、そうなんですね…
そんな世界もあるんだなぁ…。

わたしにはちょっとわからなかった。

義勇くんにわたしの他にも
お嫁さんがいたら…。

無理無理っ…!!
宇髄先生の嫁(雛鶴)
宇髄先生の嫁(雛鶴)
大人にはいろいろあるのよ♡
あなた
……/////
三人…

やだ、想像しちゃった/////
宇髄先生の嫁(雛鶴)
宇髄先生の嫁(雛鶴)
あらぁ、気になる?
ふふっ
あなた
いえっ…/////
禁断の果実…よね/////

***

宇髄先生の家では
本当によくしてもらった。

お嫁さん達のお料理は本当においしいし
(フグなんて初めて食べた!)、
お風呂は、高級旅館みたいなひのきだった。
コンコン
あなた
はーい
あ、宇髄先生
宇髄天元
宇髄天元
ほら
あなた
これは??
宇髄先生が渡してくれたのは、
手紙のようなものの束だった。
宇髄天元
宇髄天元
出版社にファンレターが
届き始めている
あなた
ファンレター!?
わたしにですか?
宇髄天元
宇髄天元
ああ
おまえたちを応援する
好意的な内容なものだ
あなた
そうなんですね…
うれしい…
わたしは、渡された束を
しっかりと胸に抱きしめた。

わたしたちを応援してくれる人がいる…。
宇髄天元
宇髄天元
噂が先行してしまっているが、
小説が広まれば、
おまえらの味方も増えてくるさ

それまでの辛抱だ
あなた
…はいっ
宇髄天元
宇髄天元
だがまだ、見るに堪えない
誹謗中傷があるのも事実だ
あなた
そう…ですよね…
宇髄天元
宇髄天元
あの小説を読めば、
おまえらがいかに大事にお互いを
想い合ってきたかよくわかる
あなた
……。
そうなんだけど…。

世の中から向けられる
底知れぬ悪意のような渦に、
わたしはもう限界だった。

つらい。
宇髄天元
宇髄天元
あなた…
宇髄先生が、優しい顔で
わたしの頭をまたなでてくれる。
宇髄天元
宇髄天元
…書くことだな
あなた
書く?何を?
宇髄天元
宇髄天元
おまえには、
小説っていう武器があるだろう

第二弾を書け
あなた
第二弾!?
宇髄天元
宇髄天元
出版社に話を通した

不本意だろうが、
今おまえは、世間の注目の的だ

売り上げが見込めるからな
トントン拍子に話がまとまった
あなた
売り上げ…ですか
小説家として、
趣味だけではやっていけないのは
わかるけど…。
宇髄天元
宇髄天元
世間に語りかけろ

世間が思ってるような
淫乱な関係じゃねぇ、純愛だってな
あなた
今は…書けません
とてもそんな気持ちには
宇髄天元
宇髄天元
まあ、そうだな…

だが書け
もうおまえは小説家だ

プロとして受けた仕事は必ずこなせ
あなた
書けませんっ…
こんな気持ちで、書けるわけはなかった。

今はただ、
義勇くんに会いたい、
会いたいよ…。
宇髄天元
宇髄天元
必要なものが、
あればなんでも支援する
あなた
宇髄先生、なんでわたしに
ここまでしてくれるんですか?

修理代ならちゃんと払いますよ
逃げませんよ
宇髄先生がわたしにこだわるわけは、
本当にわからなかった。
宇髄天元
宇髄天元
好きなんだよ
それじゃ理由にならないか?
あなた
えっ…/////
宇髄天元
宇髄天元
勘違いすんな
おまえと冨岡がだ

おまえたちが幸せじゃなきゃ、
俺の気がすまねぇんだ
なんだろう…
宇髄先生としては言い方が感情的で
理屈が通ってないけど…。

本気でわたしと義勇くんを
応援してくれているっていうのは、
ひしと伝わってきた。

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