~あなたサイド~
ようやく義勇くんと過ごせる週末!
剣道部の顧問だから、
義勇くんは午前中部活。
でも、待ちきれなくって
来ちゃったよっ…!
こんな風に義勇くんが、にんまりする時は、
すごく機嫌が良い時。
義勇くんの家で過ごす時は、
用意してくれた着物を着ているんだけど、
着ると義勇くんがすごく喜ぶ。
義勇くんも家では和服だし。
上から白いフリルのエプロンをすると、
歴史の資料集で見た、
大正時代のカフェの女性みたい!
私も気に入ってる!
やっぱり喜んでくれた♡
私も幸せだよ。
***
義勇くんが、
シャワーを浴びて出てきた。
濡れた髪と和服が…。
うん…
かっこいい…。
私のダンナ様…かぁ。
義勇くんは、髪をふきながら、
洗面所へ行った。
心なしか耳が赤い。
***
そして、お昼も食べて午後。
エプロンを外して、
ソファで義勇くんに、
コテッ…と、もたれかかった。
見上げると、思ったより
義勇くんの顔が近くにある。
綺麗な瞳…。
すると…
ピンポーン
インターホンで顔を見た。
なんでよ…うそでしょ…。
貴重な週末なのに…。
わたしと義勇くんの…。
そして…
壁越しに、女の子たちの黄色い声が
耳に突き刺さる。
義勇くんの不抜けた返事も
むかむかする。
イヤホンをつけてベッドにもぐると、
わたしは日記を開いて、
ぐりぐりと黒で書きなぐった。
~あなたの夢~
いつの間にか眠って…
しりとりをしている、
わたしと義勇くんだ…。
そうだ。
義勇くんはいつもやさしい。
やさしかった…。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。