第22話

愛している
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2020/10/27 07:00
~あなたサイド~

わたしは行くあてもなく、
公園のブランコに腰をかけた。

鈴虫のリリッ…という鳴き声が
胸にまで響く…。
あなた
義勇くんに会わせる顔がない
言いわけして…

それで…
かといって、どうしたらいいかも
もう、わからなかった。
あなた
神様…
義勇くんを生涯愛すと
誓いました

その気持ちに偽りはありません
わたしは義勇くんを愛しています…

義勇くんだけを…
ハァッ…

結婚式、感動的だったのになぁ。

こんなことになるなんて
夢にも思わなかった。

義勇くんと幸せになるって
ただただ夢見心地だった。

でも現実は…。
あなた
バカだな…わたし
ガサッ…

暗闇から音がした。



な、何っ…!?
冨岡義勇
冨岡義勇
ここにいたのか
あなた
義勇くんっ…!?
嘘みたい…!
義勇くんだ…。
あなた
義勇くんわたしっ…
義勇くんの顔を見たとたん、
がまんしていたものがあふれて、
言葉が詰まってしまった。
あなた
ごめっ…わ、わたっ
うぅ…
冨岡義勇
冨岡義勇
バカだな、
何も心配しなくていい

何も…言わなくていい
涙が止まらなかった。

ブランコから立てずにいると、
義勇くんが身をかがめて、
わたしの目の前にひざまずいた。
冨岡義勇
冨岡義勇
あなた、やっと会えた
義勇くんが優しくほほ笑んで、
親指でわたしの涙をぬぐう。

義勇くんっ…。
あなた
とっ…時透くんとは
何もなかっ
あなた
…ッん
義勇くんに、
口をふさがれた。

義勇くんのくちびるで…/////
冨岡義勇
冨岡義勇
何も言うなと、言っただろう?
あなた
うんっ…/////
冨岡義勇
冨岡義勇
もう夜だというのに
こんなに冷たくなって…
義勇くんの顔が、首筋に寄せられた。

ものすごく久しぶりに感じる。

義勇くん…
会いたかった…会いたかったよ…。
あなた
義勇くんっ…ごめんなさい
冨岡義勇
冨岡義勇
不死川から、大体のことは聞いた
プリントをがんばっていたと
あなた
うん…でもっ
冨岡義勇
冨岡義勇
信じる
俺は、あなたを信じている
あなた
ありがと…
義勇くんの腕が背中に回され、
強く…
とても強く抱きしめられた。
あなた
義勇くんっ…?
冨岡義勇
冨岡義勇
俺は離さない
離したくない

生涯愛し、信じると誓った
あなた
うん…
でも…時透くんとのこと…
冨岡義勇
冨岡義勇
これ以上!!
時透の名を呼ぶな
あなた
…ごめん
冨岡義勇
冨岡義勇
それとも…
時透が好きになったか?
あなた
そんなわけない
わたしは、ぎゅうっ…と
義勇くんの背中に手を回して
抱きしめ返した。
冨岡義勇
冨岡義勇
ならもう…何も言うな
あなた
うんっ…
耳元でささやかれる、
義勇くんの声にぞくぞくする。
冨岡義勇
冨岡義勇
愛している

この世の誰よりもあなたのことを
あなた
わたしもだよ

義勇くん、愛しています…
突如、義勇くんの
わたしを抱きしめる力が強くなった。
あなた
あっ…義勇くん?
…ッん!?
冨岡義勇
冨岡義勇
あなたっ…
さっきよりも、
熱く…強く…熱烈なキスだった。

頭がくらくらする。
心臓が…
あなた
ぎゆっ…/////

んっ…
冨岡義勇
冨岡義勇
ハァッ…
愛している…
義勇くん…
溶けそう…このまま離れたくない…。
冨岡義勇
冨岡義勇
離したくない…あなた…
時が止まったかのように
長いキスだった。

角度を変えて、
何度も義勇くんのくちびるが
押し当てられる。
あなた
んっ…ハァッ…



…ようやく義勇くんが離したのは
遠くに車が通る音がした時だった。
冨岡義勇
冨岡義勇
さて…
もう消灯の時間だろう
あなた
うん…
冨岡義勇
冨岡義勇
ほら…送るから
帰ろう
あなた
もう?
冨岡義勇
冨岡義勇
謹慎中だろ
あなた
そうだけど…
冨岡義勇
冨岡義勇
フフ…
だが、俺に会いに来てくれた
あなた
うん…/////
義勇くんが、わたしの両手に、
ぎゅうっ…と指をからませる。
冨岡義勇
冨岡義勇
しっかり謹慎して、
明けたらまた会えるんだ
あなた
そうだね!
よいしょっ…。

わたしは、
元気よくブランコから立ち上がった。
あなた
その前にもう一回キスして
冨岡義勇
冨岡義勇
…/////
わかった

グイッ…
あなた
きゃっ…/////
義勇くんが、
お姫様抱っこをした。
冨岡義勇
冨岡義勇
困った…
連れて帰りたく
なってしまうのだが…//////
あなた
いいのに…
連れて帰って…
冨岡義勇
冨岡義勇
あなたっ…/////
冨岡義勇
冨岡義勇
くっ…
あなた
義勇くん?
冨岡義勇
冨岡義勇
はぁっ…

…さ、帰るぞ/////
義勇くんは、優しくキスを落とすと、
わたしをそっと降ろした。

義勇くんの胸に抱かれている間、
義勇くんの体温と
早すぎる心臓の鼓動に、
ドキドキしっぱなしだったことは
内緒だ。



──義勇くんにもっとふれたい…


わわっ…わたし、
何考えてっ…/////

でも…近い将来、
そうなったらいいな…。





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