「おいおい何してんだ!なんのためにここ来てんだよ!!!」
腕が鎌になった店長…の姿をした化け物は俺を攻撃しようとこそしなかったがそう言って邪魔そうにはしてきた。
「どっちなんだよ、俺が捌くのかお前でもって捌くのか!」
店長もどきは俺に怒号を浴びせる。そもそも彼の言っていることがよくわからないのでどうすればいいのか全く分からない。
「あ?どうするんだよ!!!」
「俺はこんな…」
お?
ふと足音が聞こえるのがはっきりと分かった。
その足音は店長もどきにも聞こえていたようで俺たちはいったんもみ合いを止める。
その足音の正体、それは…
「よう進くん!駄目じゃないか彼に無理言っちゃ…。」
地下で出会った男、谷口さんと…
「進、しゃーねーから後は俺らに任せて今日は帰れ。」
一まわりそれより若い男の津田さんだった。
「たく、こいつが全然処理してくれなくてよお…。」
「申し訳ない店長、なんせこいつ新入りだから。な?」
「そうか、なら仕方ねえか。」
谷口さんと店長もどきは謎の会話を繰り広げている。俺には理解不能だが俺に関する事項だってことだけは理解できる。
シュールだ。とてもシュールだ。
「店長?店長どこです?」
「あ、ごめん今行くよ!!!」
店長もどきは遠く自分…ではなく店長を呼ぶ声を聴き鎌を人間の手に戻してから何食わぬ顔でその場を離れた。
その後は谷口さんと津田さんがこれまた何食わぬ顔で死体の運搬を始めた。
どうやら平常心を保てていないのは俺だけらしい。
「なーに、今日は何もしなくていいから帰ってゆっくり休め。」
津田さんがそう言った直後、俺は逃げるようにその場を去った。
数日後…
谷口さんはは新聞を読み、俺は朝飯を食う。前島さんの料理はとてもうまい。多くの人間が軽く済ませる朝食にも、決して手は抜かない。
まあそのせいで肥えてしまったのが前島さんなのだが。
「あら?」
前島さんは新聞の中に何かを発見したようである。俺はハンドサインで呼ばれてその前島さんが見つけたものを覗き込む。
「ほら、お前にちょっと前に買い物頼んだスーパーの店長行方不明だって。」
そこに書いてあったのはあの時の店長の行方不明の知らせ。
新聞の『今日の行方不明』欄に店長の顔写真がしっかりと載っていた。
考えてみればこの欄もかなり悪趣味である。前島さん曰く10年かそこら前から地方紙を中心に広がってゆき、今は全国的に増えたんだそう。
ネットで調べたところ行方不明者の急増が直接的な原因とされているがそこから先は不明だ。気味が悪い。
不明…?
違う、不明なんかじゃない。
だって俺ははっきりとこの目で見ている。
店長の死体と…両腕をまがまがしく変形させた店長もどきを…!
「前島さん…俺…!」
俺は前島さんが読んでいた新聞を無理やり奪い取ってからそのまますぐ店の従業員専用口…つまり玄関に向かった。
「なになに!?どうしたの!」
「前島さん俺、ちょっと行ってきます!」
「え、行くってどこに?ちょ、ちょっと!」
俺は前島さんの呼びかけには答えずに走って店を後にした。
そうだ…。彼らなら…あの連中なら何かしら知ってるかもしれない…。
店長の行方不明事件について…。
俺は無我夢中で地下の、あのわけもわからず歓迎された部屋に向かう。
無我夢中で走って…梯子を下り…薄暗い道に迷いそうになりながら、あの部屋にたどり着いた。
「ん?客か?なんだ君か!何?どうしたのこんな朝早くから…。」
部屋に入ってすぐ谷口さんは俺を温かく出迎えてくれたが今日は出迎えられるために来たんじゃない。
俺は持っていた新聞の、『今日の行方不明』欄を谷口さんに突き付けた。
「これ…どういうことですか?」
「おいおい何してんだ!お前、なんのためにここに来てんだよ!!!」
腕が鎌になった店長…の姿をした化け物は俺を攻撃しようとこそしなかったがそう大声で言って邪魔そうにはしてきた。
「どっちなんだよ、俺が捌くのかお前でもって捌くのか!」
店長もどきは俺に怒号を浴びせる。そもそも彼の言っていることがよくわからないのでどうすればいいのか全く分からない。
「あ?どうするんだよ!!!」
「俺はこんな…」
お?
ふと足音が聞こえるのがはっきりと分かった。
その足音は店長もどきにも聞こえていたようで俺たちはいったんもみ合いを止める。
その足音の正体、それは…
「よう進くん!駄目じゃないか彼に無理言っちゃ…。」
地下で出会った男、谷口さんと…
「進、しゃーねーから後は俺らに任せて今日は帰れ。」
一まわりそれより若い男の津田さんだった。
「たく、こいつが全然処理してくれなくてよお…。」
「申し訳ない店長、なんせこいつ新入りだから。な?」
「そうか、なら仕方ねえか。」
谷口さんと店長もどきは謎の会話を繰り広げている。俺には理解不能だが俺に関する事項だってことだけは理解できる。
シュールだ。とてもシュールだ。
「店長?店長どこです?」
「あ、ごめん今行くよ!!!」
店長もどきは遠く自分…ではなく自分が殺した相手を呼ぶ声を聴き鎌を人間の手に戻してから何食わぬ顔でその場を離れた。
その後は谷口さんと津田さんがこれまた何食わぬ顔で死体の運搬を始めた。
どうやら平常心を保てていないのは俺だけらしい。
「なーに、今日は何もしなくていいから帰ってゆっくり休め。」
津田さんがそう言った直後、俺は逃げるようにその場を去った。
数日後…
前島さんは新聞を読み、俺は朝飯を食う。前島さんの料理はとても美味い。多くの人間が軽く済ませる朝食にも、決して手は抜かないのだ。
まあそのせいで前島さん自身はかなり肥えてしまっている。本人は美食家ということにしているが。
「あら?」
前島さんは新聞の中に何かを発見したようである。俺はハンドサインで呼ばれてその前島さんが見つけたものを覗き込む。
「ほら、お前にちょっと前に買い物頼んだスーパーの店長行方不明だって。」
そこに書いてあったのはあの時の店長の行方不明の知らせ。
新聞の『今日の行方不明』欄に店長の顔写真がしっかりと載っていた。
考えてみればこの欄もかなり悪趣味である。前島さん曰く10年かそこら前から地方紙を中心に広がってゆき、今は全国的に増えたんだそう。
ネットで調べたところ行方不明者の急増が直接的な原因とされているがそこから先は不明だ。気味が悪い。
不明…?
違う、不明なんかじゃない。
だって俺ははっきりとこの目で見ている。
店長の死体と…両腕をまがまがしく変形させた店長もどきを…!
「前島さん…俺…!」
俺は前島さんが読んでいた新聞を無理やり奪い取ってからそのまますぐ店の従業員専用口…つまり玄関に向かった。
「なになに!?どうしたの!」
「前島さん俺、ちょっと行ってきます!」
「え、行くってどこに?ちょ、ちょっと!」
俺は前島さんの呼びかけには答えずに走って店を後にした。
そうだ…。彼らなら…あの連中なら何かしら知ってるかもしれない…。
店長の行方不明事件について…。
俺は無我夢中で地下の、あのわけもわからず歓迎された部屋に向かう。
無我夢中で走って…梯子を下り…薄暗い道に迷いそうになりながら、あの部屋にたどり着いた。
「ん?客か?なんだ君か!何?どうしたのこんな朝早くから…。」
部屋に入ってすぐ谷口さんは俺を温かく出迎えてくれたが今日は出迎えられるために来たんじゃない。
俺は持っていた新聞の、『今日の行方不明』欄を谷口さんに突き付けた。
「これ…どういうことですか?」
谷口さんはしばらく腕を組んで考える。
そして意を決したように、俺の方を向いて口を開いた。
「まさかこんなに早く違和感を持つとはね…。いいだろう、話せるだけ話す。」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。