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第15話

辿リ着イタ先、其レデモ奴ハ現レル
モーニングコールの音で、俺は目を覚ます。

「ふぁ〜あ〜…。」

時刻は午前7時。テレビを付けると朝のニュースがやっている。

『では次のニュースです。〇〇県✕✕市の会社員、藤田 仁さんの遺体が発見されました。遺体はスーツケースの中から発見されており、首が取れた状態で…』

たまに聞く殺人事件だがこの所よく聞く気がする。そしてそれが化け物の仕業であるということもだいたい想像がつく。

『この事件に関しては藤田さんの妻や勤務先の社長が行方不明になっており警察は…』

やはり、そういう事か。
この事件は奴らのせいである可能性が高い。

「ちくしょう。」

止められなかったことが悔やまれるが、俺の体は1つしかない。そもそも奴らについて知っている人間が少ない。

だから惨劇を産む。

知らず知らずのうちに、この世は奴らに蝕まれていく。

「もう…戻れねえな。」

俺は服を着替え、部屋を出て、ホテルをチェックアウトする。

午前7時過ぎとはいえ外に出ると多くの人がいた。皆脅威に気付かずにのうのうと社会生活を営んでいる。

「…ん?」

ふと、俺の前を工事現場の作業着を着た2人の男が通り過ぎた。うち片方、向かって右側にいた背の高い男は…

「見つけた…。」

奴だ。化け物だ。俺は奴にもやつと行動を共にしている人間にも気づかれないように後をつける。彼らは雑談をしながら人目の少ない路地に入っていった。人間の方が違和感を感じているのが遠目にわかる。

「…せ、先輩?いい朝飯食えるところって…どこなんですか?」

人間の方が不安から尋ねる。それを聞いて背の高い男、化け物の方の表情が険しくなる。そして少ししてそれは不気味な笑みに変わった。

「どこって…聞いたことないか?地獄って。」

そう言って背の高い男バケモノは自分の右腕の部分だけを黒いハサミのように変化させた。そして勢いよく人間の方にそれを突き刺そうと走る。

「まずい!」

すかさず俺は背の高い男バケモノにタックルした。体制を崩し、その場に倒れ込む男。

「早く逃げろ!」
「は、は、はい!!!」

人間の方に避難を促し、路地には俺と奴の2人だけになった。

「貴様…。」

そう言って男は人間の姿から完全に黒い影の化け物の姿になった。左手で鋭利な右手のハサミを撫で、そのまま俺に突進してくる。

「おらぁっ!」

…と、こんなのは序の口。俺は奴と適切な間合いになったところで蹴りをお見舞してやった。腹を抱えて仰け反る化け物。その隙に俺は近くにあったスナックの看板を手に取り、奴の頭目掛けて振りかざす…

「へへへへへ…」

とはならなかった。奴は右手のハサミで看板を切り裂く。どうやら刃物は本当に鋭利らしい。化け物は不気味な笑い声を浮かべながら、もう一度俺に突進する。まずい。

「おらっ!おらっ!おらっ!へへへ…。」
「ちくしょう…!」

同じ手は2度は使えないだろうと、俺は奴の突進を回避することに徹することにした。しかし、それも限界がある。どこかで形成を逆転させる1発がなければ…

「へへへ…へへへへ…。」

ハサミの化け物が再び突進をする姿勢に入る。俺の体力も消耗してきた。もう後がない。

「へへへへへ…!」

化け物が俺目掛けて勢いよく走る。さすがの俺も…。

いや…待てよ…!

「これは…。」

見つけたのは不良が書いたような落書き。そしてその下にはその時に使っていたであろう塗装用のスプレーがそのまま転がっていた。まだ中身も残っている。


これは使える…!

「ふんっ!」

俺は勢いよく力を振り絞って奴の突進を避け、その過程でスプレーを拾う。そしてそのスプレーを突進が失敗して怯んでいる奴の顔目掛けて噴射した。

「う、うわぁぁぁぁぁ…!」

顔を押さえて苦しむ化け物。俺は咄嗟にナイフを取り出し、勢いよく化け物の背中に突き刺した。

「おらぁっ!おらぁっ!」

化け物が弱っていく中、何度も何度も刺す。

化け物は、やがて動かなくなった。いつもと同じだ。

10回くらい刺したところで俺は冷静になり、刺すのを辞めた。化け物からは一切の生気が抜けていた。

「ラッキー…!」

うつ伏せになって倒れている化け物の近くには奴のものと思われる財布が落ちていた。スプレーのせいで色がついているが、中身は問題なさそうだ。俺はその中から1万円にも満たない現金と、免許証を取り出す。

「柳澤…一郎さんか。可哀想にな。」

俺は免許証と財布を地面に置いて手を合わせ、そのまま何事も無かったかのように去った。










「ふ〜ん、1度は駆けつけてやろうかと思ったけど、想像してたより強いな。あ?通信?」
上原うえはら亮介りょうすけ、何をしているのです?電車まであと3分ですよ?』
「いやあごめん。なんたってあいつ、E$CA狩ってる桜山通見つけちゃってさ。」
『何ですって?』
「まあ、俺はあんたが言う通りもう行くから、後で調査団なりなんなり送ってくれよ。じゃあな。」