第3話

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2021/07/13 10:42
鈴音
鈴音
…天兄〜、此奴ら、全然美味しくないよ…
天音
天音
分かるわ〜、てかちゃんと食べてんのかな?食べてもらわないと僕ら、困るんだけどなぁ〜!
殺した人間の腕や太腿の肉が詰まっていそうな所を食べる。けど稀血じゃないからかな…全く美味しくなくて吐きそうなんだけど…
服も此奴らの返り血を浴びちゃってベタベタするし…あーもう!!最近運が全くない!
帰ろうと僕らが立ち上がる。それと同時に、カサッ、と木の葉が何かと擦れ合う音が一瞬した。天兄もあのヤバい程視力が良い目で察したらしい。…あ、僕は耳が良いんだ!ずーっと先までの音が分かるし。天兄は百キロメートル先まで見れるらしいよ!
星海 憂希
星海 憂希
…あれ、鬼が居ると思ったら二人か〜
十二鬼月なら給料上がったのにな、残念、残念!
鈴音
鈴音
あれ、憂兄じゃん、おっひさー!
天音
天音
おーゆう!!
まあ僕の変わり身位は上げるよ〜?
それで給料上げてきたら?
鈴音
鈴音
それなら僕だって人形上げるよ?
…あ!憂兄この人形を鬼殺隊のボスに渡して!これ、起爆式の人形だからさ、僕が自由なタイミングで起爆させれんの!
星海 憂希
星海 憂希
へ〜、便利な人形じゃん。
…待って、鬼殺隊のボスに渡すんじゃなくてさ、柱に渡したらどう?
え、憂兄めっちゃいい案出すじゃん!!
えーっと、確か鬼殺隊の柱は憂兄を除いて『九人』。よし、持ってた持ってた!
鈴音
鈴音
はいよ憂兄。
ちゃんと鬼の気配とかもごまかしてるし!
天音
天音
なー、りん。
それならさ、ちょっとゆうに柱の好きそうな『香』、聞いてもらって忍ばせといたら?
だったらゆうが聞いて渡しても違和感無いでしょ?
鈴音
鈴音
あーなるほど!
じゃあ憂兄、これ渡すから聞いたら連絡して!『香』、付けれたら浅草で渡しに行くから!
星海 憂希
星海 憂希
りょーかいっ!
じゃあ匂いも付くとやばいから僕、帰るわ。
ぐっばいび!
憂兄を見送ってから、僕らも自分達の屋敷に足を運ぶ。僕らの屋敷の名前はね、『星海亭』って言うんだ!
…人間の頃の苗字。
僕らはまだ思っていない事が起こるとは思わなかった。なんで浅草なんかを選んだんだろ…
でもそんな事は知らないから天兄と、『浅草って久しぶりに行く〜!』だとか、『なんか服買いに行きたい!堕姫ちゃんとかも誘いたいな〜』って言う感じの会話をしていた。
そして、その頃は深夜の月が沈みかけ、早朝の眩しい太陽の光が登りかけていた。
まさに僕ら鬼と憂兄らの鬼殺隊の境界線の様な空をしている。

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