美しさに唖然とする男に女は言った
「用がないならどこかに行ってもらえる?」
「私も暇じゃないの」
強気に対応する彼女をみて
とても……"殴りたい"と思った。
とりあえず連絡の交換を試みようと
"あ、あの、連絡先…"と
彼女の目を見つめ
それはそれは子犬のような身振りで
連絡先を求める。
女性は警戒しながらも連絡先を交換する。
「仕方ないわね」と。
ありがとう、とぺこりと頭を下げれば
笑を浮かべ
男は、ばしゃばしゃと水たまりを
踏んで走り嬉しいと言わんばかりに
携帯を抱きしめた。
"まず殴るには―"と
想像をまるで風船の様に膨らませては
"これだと逃げられるかも"と割る。
それを繰り返して出来た計画、
まず メールを送る
メールだけのやり取りを数日
次、"また会えませんか"と送って
許可が出るのを待つ
そして、 何度か会ったあと
好意を伝える。
上手く行けばの話だが、
OKされたとする
そうすれば{SM}と言うプレイを使って
合法的に殴れるのでは
と考えたんだ。
今日はメールからだ。
とても楽しみだなぁ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。