左腕が重い
なんかが乗っているな
俺はノロノロと目を開けた
右手に握っていたスマホを見る
最後に見た時間から30分くらい経っていた
そして左を見る
俺の広げられた左腕を枕にして、じんたんが寝ていた
メガネを、かけたままだったので外してあげた
一見女の子のように見えていた顔は凛々しい顔立ちをしていた
ん?でも、なんかおかしい
苦しそうな表情をしている
そういえば腕から伝わってくる体温も異様に高い
起き上がり直ぐに水を取りにいく
戻ってくるとじんたんが少し目を開けていた
意識が無いわけではなかったみたい、良かった・・・
一番辛いのはじんたんなんだろうけど、何故か俺がめっちゃパニクっていた
冷静にならなきゃと思うほど冷や汗が出てくる
じんたんはシャツに手はかけているが動かない
いや、動けないのか
俺はじんたんの支えながら体を起こさせシャツを脱がせた
じんたんは笑顔を作る
でも、俺の支えがないとクタっとなってしまうほど体力が無くなっているみたいだ
俺はこれ以上どうしたらいいか分からなくて、あれこれ考え出した
一方のじんたんは俺の手から抜け出し体を引きずってどこかへ行こうとしていた
俺は慌ててじんたんを追いかけた
その時急に彼が停止し、振り向いた
俺はバランスを崩した
みやが玄関先に立っていた
俺は気づく
俺がじんたんに床ドンしている状態だということに、
そして二人とも上半身裸だということに
お互い少し顔を見合わせてからバッと離れた
じんたんが苦しまぎれに説明をする
状況を理解したみやは「ああ、ごめん」と言って少し真面目な顔になった
じんたんの声はどんどん小さくなって今にも消えてしまいそうだ
みやは再びじんたんが何か飲み食い出来そうなもの買ってくると言って出掛けた
直前までじんたんが「いいって!みやまで倒れちゃうから!」と言っていたが、みやは強行突破して行った
休むと言い寝そべったものの、じんたんは寝て
はいない。意識も回復してきたのだろう
隣に座っている俺もだいぶ気持ちが落ち着いた
安堵していると急にじんたんが笑いだした
状況が状況だし、笑い事では無いのだが確かに、なかなか凄いワンシーンではあった
俺はそう言って軽く笑った
あれ?無反応?
ちょっと怖くなってじんたんの顔を見る
袖口で口元を隠している
またぶり返したのだろうか
よくよく顔を見ると少し赤みがさしている
だけど体調が悪いわけでは無さそうだし・・・
俺はふと、直前までの会話を思い出す
じんたんは「あー」とか「うー」とかごにょごにょ言いながら目を逸らす
何だかこちらの顔まで熱くなってきた
夏の暑さだけで十分なのに
これ以上何か言われてもこっちも恥ずかしい
だが、口からそう言葉が出ていた
焦りすぎだろ、俺
じんたんは何かを思い出したように言った
心当たりがない
大体にして俺はさっきまで寝てたし
じんたんが何か話そうとした時ちょうど、みやが帰ってきた
結局その日は話を聞けずに解散してしまった
久しぶりの更新です!
まだまだ続くので気長にお付き合い下さい( *´꒳`* )
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。