第4話

二度目の
249
2019/04/04 04:56
季節はあっという間に変わり夏になった
入学した頃に比べたら俺はだいぶ変わった

俺は動画出していることは周りに内緒にしようとしていた
いずれはバレるけど、今はまだ良いかなって思ってて
しかしあっという間にバレてしまった
褒められることに恥ずかしさと誇らしさがあった
もちろんネットの中でも現実でも批判する人もいるわけで
色々大変な思いもした
だけど・・・


2人の友達が支えてくれた
テオくんも、みやも有名な配信者だ
俺なんかより全然凄い
でも気兼ねなく話せるし、特別扱いせず隔たり無く接してくれるのが嬉しい

お互い信頼しているし隠し事なんかせず・・・
いや、一つだけ分からないことがある
唯一テオくんが教えてくれないこと
あの日、出会った日
バス停での出来事
「行かないで」
あれは俺に?
ありえない、テオくんとは初対面だったんだ
そんなこと言われるわけが・・・


テオ
じんたんー!あっつい!
ボーッと考え事をしてる俺にテオくんが抱きついてきた
テオ
抱きついたらもっと暑い!
なんだか1人でテオくんは叫んでいる
それを横目にみやは涼しい顔して笑っている
そういえば今日は俺の家に2人が来ていたんだった

夏休みにもなり余裕が出来たのでコラボ動画の撮影をする為俺の家に集まった
今撮影が終わって一段落ついたところだ
しかし、この夏の昼間、一番暑いときにエアコンが急に故障
扇風機を占領しているみやは汗一つかかずニコニコしている
その傍ら俺ら2人は暑さにうなされていた
テオ
上脱いでいい?
テオくんは俺から離れると直ぐにシャツを脱ぎだした
みや
いや、訊ねた意味なくね
みやのツッコミに「それな」と答えてからテオくんはゴロンと横になった
テオ
じんたん、みや、俺は寝る
そう言って静かに寝息をたてた
寝るの早っ!
俺の声はもう聞こえてないらしい
みや
しょーがない、アイスでも買ってきてあげますか
俺を1人取り残すの?!
みやが急に立ち上がったので俺は袖を掴んで制止させる
みや
テオくんいるじゃん
寝てるじゃん?
みや
でもアイス食べたいじゃん?
それは
みや
じゃあ、行ってきます
えっ、マジで


みやが出掛けてしまい、テオくんは寝ている
部屋がとても静かだ
俺は再びバス停での出来事について考え出した
俺に言ったのではなければ誰に?フラッシュバック的なものだったのかもしれない
「行かないで」
そう伝えたい相手は?親?兄弟?友人?
・・・彼女?
いや、まさか
テオくんが女の子相手に弱気な所見せるかな
でも事態が相当深刻だったら有り得るかも
テオ
んん・・・
起きたのかと思ったが寝返りをうっただけだった
ビックリした・・・
鼓動が早くなったのを感じる
心臓を落ち着かせながら部屋の隅にあるタオルケットをとる
そっとテオくんにかけようとした


えっ?!
ふいに腕を掴まれる
顔をみたが目は閉じている
寝ぼけているのかな
テオくん?
小声で話しかけると、僅かに口が開いた
テオくんの口に耳を近づける
テオ
ご・・・な・・・
ん?
テオ
ごめんな
・・・どうして?
俺が問いかける頃にはもう、手は離されていた

これで二度目だ
けど、少しだけあの時と違う
起きた時に聞いてみよう


そう思ったのだが気づくと俺も目を閉じていた

プリ小説オーディオドラマ