僕は足早に教室を出た。
廊下は人がにぎわっている。
僕は人混みが苦手だ。
人が少なくなるまで、柱の陰に隠れることにした。
よし、いなくなった。
人の気配が無くなった廊下を、僕はまた歩き始めた。
(ガラガラ
僕が保健室の扉を開けると、裏坂先生が顔を出した。
____僕は先生に抱きついた。
先生の胸に顔をうずめる。
シャツからはほんのりと石鹸の清潔な匂いがする。
放課後の保健室。それは、僕にとって特別。
裏坂先生が僕を見つめる。
僕も先生を見つめた。
……僕と先生の関係は、あの日から始まった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。