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第23話




眞也と小雪、兄妹の生きた時代は、これまで無かったようなことが沢山起こりました。
わたしは時代の大きな転換点に立たされて、いや、泳がされていることを、朧気ながら感じていました。

時の流れは否応なく、そして、世界は着々と、平たく均一になっていきました。




例えば、一億円が見つかりました。

眞也はもし一億円を手に入れたら新しい野球帽を、小雪はペルシャ猫を欲しいと言いました。

そして兄妹が一億円を手に入れることは、遂にありませんでした。



例えば、エンペラーが死にました。

眞也お気に入りの演芸番組は追悼番組に代わり、小雪の楽しみにしていた遠足は中止になりました。

そして元号は新しくなりました。



例えば、パンダがやってきました。

眞也は目のまわりをマジックペンで塗りつぶして叱られ、小雪はパンダを一目見ようと家出を試みて叱られました。

そして数日もしないうちに、兄妹はパンダに飽きてしまいました。



例えば、バブル景気がありました。

眞也は肩パッド付きのスーツで出社し、郊外にマンションを買いました。小雪はボディコンを身につけ、扇を振って毎晩パラパラを踊りました。

そしてバブルは弾けました。





例えば、呂久が死にました。鈴も後を追うように死にました。

ふたりはうつくしいまま死んでくれてよかった、と思いました。