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第16話




あかねは死にました。


……いいえ、嘘です、生きてはいるのですが。
でも次女の佳代を産んだ日、あかねは確かに一度死んだのです。



「また女か」

たったひとりで子供を産んだあかねに対し、祐のかけたねぎらいはこの一言に尽きました。
その瞬間、あかねの近代人的自尊心は死にました。自尊心の死ぬ音がしました。


毎夜の横暴は止むことが無く、あかねはたくさんのこどもを産みました。どれも女の子でした。
わたしとあのひとの住んでいた小さな家は、あかねと祐、美代、佳代、佐代、真代、千代の六人で随分手狭になりました。

祐はそれを見かねてようやく働き始めましたが、何もかも上手く行かず、結局は凡庸な工事夫に落ち着きました。

きっと、わたしの愛した優しい軍人は、あかねが死んだあの日、一緒に死んだのでしょう。


愛すべき人のいない生は、単純なものでした。