皆様こんにちは!作者の凛です。
ようやく第一章、「オリヴィアの証明」編が終了致しました・・・!
ここまでの総閲覧数は現時点で137回、デイリーランキングへのランクインも出来ました。
全ては皆様がこの稚拙なお話しをここまで読んでくださったお陰です。本当にありがとうございました!
まだまだ第二章も続いていきますので、いいね、お気に入り登録して頂けると嬉しいです!
ここからは第一章終了からその後の番外編をお届け致します。
監視番号1番の皆様、彼らの監視を、これからも宜しくお願い致します。
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☆番外編 「機械人形擬きの親は誰?」☆
「それにしても主様、お疲れさまでした。」
今朝の新聞を読む僕に紅茶を淹れながら、オリヴィアは優しく笑った。
銃弾の怪我はもうすっかり塞がったようだ。
・・・撃たれてから一日も経っていないのに。
「見ろオリヴィア。シンプソン家のことが記事になってるぞ。」
【慈善活動家のテレサ=シンプソン氏が自宅にて謎の死!】
「世間では飼ってた大型犬に首を噛まれたということになっているらしいな。」
「そのようですね。」
・・・まぁ、もうテレサのことは正直どうでもいいんだ。オリヴィアの手帳に書いてあった者はいずれ全員潰すつもりだったのだし。
・・・そんなことより今は
「主君ーーーーー!!!!!」
・・・悩みの種が来た!!
「こらこらディレイン。廊下は走るなと教えたでしょう。」
オリヴィアがため息混じりに呟く。
「主君主君!おはようございまーーーす!!」
「聞こえてる!!」
僕が怒鳴るとディレインは嬉しそうに笑う。
彼女はディレイン。下の名前は不明。
年齢は自称10歳。
波のようにうねる金髪は腰ほどまであり、真っ青で吸い込まれそうな青目である。
背丈は僕よりも低くて、この屋敷に来たときからオリヴィアが用意した小さめのメイド服を着ている。
「なぁオリヴィア。こいつどっかにやれないのか?」
この少女は先日テレサと対峙したときに拾ってきた。
テレサが誘拐してきた数多の子供達の内の一人。
子供達は大半を親元に帰したのだが、この子だけ、家族が全く見つからず、とりあえず家に置くことになったのだ。
・・・だが、
「主君ー!お疲れ様ですー!!」
こいつ、もう僕の従者になった気でいる。
「主様、もう諦めてこの子も使用人として雇えばいかがです?家族も見つかりそうにないですし・・・」
「絶対にいやだ!!」
こんな子供、僕では面倒が見切れない!
絶対に嫌だからな!!
そこから数日たった。
ディレインは毎日僕を起こしにきた。体内時計が正確なやつめ。
夜になってもディレインのテンションの高さは収まらなかった。
僕が就寝するぎりぎりまでずっと話しかけてくる。
そしてしまいには
「主君、おやすみなさいませ!」
だ。
オリヴィアはもう慣れたのか、ディレインに読み書きを教えているようだった。
駄目だ、あいつのことを考えていると頭が痛む。
「主様、おやすみなさいませ。」
「僕はあいつのこと認めないからな。」
吐き捨てるように語ると、さっさと眠りについた。
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「僕はあいつのこと認めないからな。」
主様が腹立たしそうに布団に潜り込んだ。
やれやれ、
・・・さて。
ここから私には大きな仕事が残っている。
シンプソン家の舞踏会に参加したことにより、パートリッジ家の知名度が飛躍的に上がった。
そしてその分、主様の命を狙う人物も格段に増えた。
今までは5人程度の暗殺者だったのが、今では一日に20人はざらである。
こいつら全員を主様が就寝していらっしゃる時間に始末する。
しかも、夜中な為、銃は使えない。
喰ったっていいんだが、一度に20人も喰いたくはない。
結局いつも弓やらナイフやらで終わらせることになるのだ。
屋敷の裏からそっと出る。
今日も暗殺者との対峙が始まる。
・・・と思ったのだが
「・・・おや。」
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「主様、主様、おはようございます。」
オリヴィアに揺すり起こされる。
久々に静かに起床できた。
「・・・おいオリヴィア。ディレインはどうした。」
「あの子なら、お庭に。ご自身で確かめた方が宜しいかと。」
「は?」
言葉の理解が出来ずに思わず聞き返した。
とりあえず・・・窓を開ける。
僕の部屋は屋敷の二階にあるが、庭に広がるその光景に絶句した。
僕の庭のあちらこちらに暗殺者と思わしき死体が転がっていたのだ。
そして庭の中心には、逆手にナイフを持ったディレインがいた。
ディレインは僕に気づくと、
「主君ーーー!!!」
と嬉しそうに叫んだ。
「なぁオリヴィア、これはどういう状況だ?」
「実は昨晩、私が暗殺者退治をしようと庭に出たとき、既に彼女が全員退治していたのですよ。」
思わぬ出来事に頭がついていかなかった。
あんな小さな少女が・・・
「流石はテレサ=シンプソンの使用人といったところですか。」
オリヴィアが苦笑いをする。
「あの子、お菓子作りも上手なんですよ。」
オリヴィアはさもついでと言わんばかりに付け加えた。
「・・・もういい、オリヴィア、あいつを正式にうちの使用人として迎え入れる。身の回りの世話をしてやれ。」
「畏まりました。」
全く、とんでもない拾いものをしてしまった。
ではディレインはスティルルームメイドとして家に置こうか。
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番外編 終
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!