ルイ「ん？どうしたんだ？君」

美香「え？あっ、いや、そのー…」

　　　不意に声をかけられ驚いた。
　　　そっか、このルイ君は私のことを
　　　知らないのか…少し寂しいな。

ルイ「どうした？」

美香「その、信じてくれないかもしれない
　　　けど、私はちょっと未来から
　　　来たんだ」

ルイ「え？いきなりどうしたの？」

美香「いきなりで考えが追いつかないだろう
　　　けど信じて、未来と言っても本当に
　　　昨日のことなの、私はここであなたに、
　　　ルイ君に助けてもらったの」

ルイ「なんで俺の名前を……」

美香「だから未来から来たの！
　　　それでね、私が昨日ここで自殺しようと
　　　したのをルイ君が助けてくれたの。
　　　だから『ありがとう』って言いたかった
　　　けど、ルイ君倒れちゃって……
　　　そのまま死んじゃったの。
　　　だから言わせて、『ありがとう』！！」

ルイ「………話が急すぎて信じれないけど…
　　　つまりお礼が言いたかったんだな？」

美香「うん！」

　　　よかった。ちゃんと『ありがとう』って
　　　伝えられた。

ルイ「……俺が倒れた理由も知ってるのか？」

美香「…うん、癌なんだよね？」

ルイ「……マジかー。なんで伝えてんだよ俺」

美香「今からでも遅くないよ。病院に行こう」

ルイ「意味ねぇよ」

美香「なんで！」

ルイ「だって君の話じゃ俺は今から
　　　倒れるんだろ？なら今更意味ないだろ」

美香「それは……そうだけど。
　　　行く意味はあるよ」

ルイ「それに、その時の俺がなんて言ったか
　　　知らねぇけどな、俺は今日までの命だ」

美香「…えっ？………」