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第1話

何時も通りって何だっけ
3,643
2019/06/08 22:43
ショッピ
ショッピ
ゾムさん。俺は貴方の為に、何が出来ますか?




















































現在は主にHoI4・Minecraft・Garry's Modのマルチプレイを実況する。
ゲス声・罵声・下ネタ・内ゲバ・そして時にインテリジェンスを感じさせる語彙が飛び交う戦場で、和気あいあいと殺伐しているマルチプレイ実況が特徴で、YouTube・ニコニコ動画を中心に投稿し、『新しい』を更新し続ける〇〇の主役は我々だ。
其の内の一人、ゾムは雪の降る寒い日、誰にも行くことのできない場所へと旅立ってしまった。
其の訃報は、瞬く間に様々な実況者達に伝染していく。
泣きながら怒る者、泣き喚いて崩折れる者、信じられずに呆ける者と、反応は様々だ。
原因は、相手方の不注意と雪によるスリップらしいとショッピは噂で聞いていた。
けれどまだ信じられなくて、枯れたはずの涙が頬を伝う。
それこそ戻れなくなるのではと心配されるほどに泣いて叫んで疲れても、眠れない日が続いていた。
そんなショッピを心配したコネシマと鬱先生がゲームに誘って、日曜日。
Minecraftをプレイしている最中でも、ショッピの目は笑っていなかった。
矢張り、彼の死を受け入れられていないのだろう。
その内鬱先生に呆気なくショッピが殺された。
鬱先生
何時もの調子じゃなくて狂うよ
鬱先生が不貞腐れてそう言えば、ショッピはキーボードを叩く手を止めた。
コネシマもそれを見て、ショッピの方に視線を向ける。
ショッピは二人の方を見て、少しだけ悲しそうに微笑してみせた。
ショッピ
ショッピ
…そうっすか?おれ、いつも通り出来てなかったんですかね?
ショッピの口から出た微かな声は掠れていて。
酷く泣きそうで。
コネシマと鬱先生は目をそらした。
解っている。
彼が苦しんでいるのはゾムの訃報だ。
けれど何もできない。
鬱先生は静かに唇を噛み締めた。
ショッピ
ショッピ
ご、ごめんなさい!ほら、早く続きやりましょう!
笑って誤魔化すショッピに、コネシマも鬱先生も笑って返すしかできなかった。

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