今貴方には殺したい人がいますね?
と登場したのがほんのさっきの出来事
目当ての男は目を見開いたまま動かない
「もしもーし」
亮平「ハ、ハロウィン、ですか…?」
「それって魔除けの儀式だよね?払われちゃう私がやるわけなくない?」
私がしゃべるとなぜか固まる男
亮平「君は誰なの?あと、どっからどう入ってきたの?」
「私は死神。ただ、死神って呼ばれるのは嫌いだからあなたって呼んで。どうやって入ったのかは死神だからってことにしておいて?」
またフリーズする彼
どうやら何かを考えてるみたい
部屋を見渡すとなんだか難しそうな本がたくさんあった
「君、理系男子だね?私のこと信じてなさそうだけど後々信じてくれればいいよ」
彼の顔をのぞくも信じてなさそうな顔
まぁそんなものよね
「で、もう一度言うけど。君は今殺したい人がいるね?阿部亮平くん」
名前を言えばまた驚いた顔
人間って面白いなぁ
亮平「殺したい人…」
うん、その顔はいるんだね
「深くは聞かないよ。でもね、人を呪わば穴二つ。亮平くんからも何かもらうけどいい?」
亮平「もちろん!」
食い気味に答える彼に
私は微笑んだ
「じゃあ殺しちゃおっか」
私が嫌いな君の彼女
亮平くんは殺したいほどあの子が好きなんでしょ?
私はね、殺したいほどあの子が嫌い
だって亮平くんを死ぬほど愛してるのは私なんだもん
「じゃあいこっか」
亮平くんの手をとって空間を移動する
彼の手を握るのは今後私だけでいいし
彼が好きになるのも私だけでいいでしょ?
彼にかける呪いは
恋の呪い
一生私を忘れられなくしてやるんだ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!