久しぶりにあった彼は
髪の毛が黒くなっていた
「よくきしきしにならないよね」
風磨「最強だからね」
フッと笑う仕草は変わらない
「ねぇ、何ヶ月ぶりだっけ」
風磨「3ヶ月ぶり」
「ごめん、ね」
風磨「浮気されたかと思ったわ」
彼の背中に震える声で私の言葉を届ける
風磨「え、なんでなんも言わないの」
と冗談交じりに笑う
風磨「俺、仕事ばっかだしさ、仕事のせいで外には出かけらんねえけど。お前にいい景色いっぱい見せる自信しかない」
「なんで外にいけないのに景色が見れるの」
風磨「ライブ。来てよ。取っておきの席用意するからさ。中島でも勝利でもまっしまでもマリウスでもなく、俺だけを見てて。絶対」
そう言ってキスをした
チュッチュと音が部屋に反響する
風磨「ライブのDVD見ながらしよっか」
「なんで」
風磨「この曲でいったなとかさ、あなたしか知らないの。エロくない?」
私の意見は聞かない
それが彼
風磨「始まったからはじめようか」
「もうどこで笑えばいいのかわかんない」
3ヶ月ぶりの彼はどこも変わらず
心の底からほっとした
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。