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第34話

夏×💎💗
475
2022/01/24 18:36
今年もドーンと花火があがる

毎年恒例行事

浴衣姿の大我をこっそり盗み見る


大我「綺麗だね」


「ほんと、綺麗だね」


ふふっと笑ってまた空を見上げる


「大我また大きくなったね」


と言うけれど

花火の音でかき消されてしまう

花火は綺麗だけど

これが厄介だなぁと思う


大我「もうすぐ終わっちゃうね」


その声とともに


『本日最後の花火です』


とアナウンスが聞こえる


大我「ねぇあなた、今日アルバム見せてもらったんだけどね。写真の隣に婚約記念日って書いてあったんだよ」


ふふっと大我が笑う


大我「ちょうど今日」


「今日?」


大我「懐かしいね」


昔のことを思い出して

私もふふっと笑った


「そうだね」


私がそう言うと

大我はくるっと私の方を向いた


大我「だから今日は花束持ってきてみた」


「わぁ!綺麗!」


大我の手にあったのは

小さなひまわりの花束


大我「ちょっと待ってね」


大我はその花束をはんぶんこにして渡してくれた


大我「うん、綺麗」


「ほんと?ありがとう!」


大我に褒められると嬉しいなぁって思って

その場でぴょんぴょんと跳ねると

急に大我が泣き始めた


「大我・・・?」


大我「ごめんね、ごめん」


「大丈夫だよ?どうしたの?」


私の言葉が聞こえないみたいに

大我は何も答えなくなった


「大我?」


大我「あの日、ちゃんと送ってやればよかったね」


大我の寂しそうな目が

私の少し上を見つめた


大我「また来年来るからね」


そう言って両手を合わせる

あぁ、また行ってしまう

謝らなくても大我のせいじゃないのに


「もう気にしなくていいんだよ」


そんな私の声も聞こえることなく

大我はゆっくり帰っていく


「またね、大我」


また来年ね