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第18話

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2018/06/30 04:05

梅雨入りし、じめじめとした湿気。洗濯物も普段は昼頃を過ぎるとからっと乾くのだかそうもいかない。
雨がまた強く降り始めたのか障子越しに屋根瓦から滴る音が聞こえる。
見回りも大変だと思うだけで別に気には止めない。

いや、止める理由など無い。

此処に住み込むようになったのも1年も過ぎた。3ヶ月も足そう。
名ばかりの繋がりのために連れてこられ味気の無い生活をただ繰り返す。
兄様の名を伊藤鴨太郎と呼ぶ。
真選組の参謀と幹部役職に付き、学問も剣術にもたけた二刀流と呼ばれるほどまさしく文武両道。「先生」等と周りから慕われたそうだ。
その妹は縁者との理由で此処に住み込む。ただ血の繋がる名ばかりのためだけに。
ミシッと縁側の通りの床がきしむ。誰かが居るのは当然で、それでも滅多に(山崎さんを除けば)人など尋ねないので書物を添えている手に力が入る。
土方
山崎が野郎てしばらく抜けている
昼飯は此処においとく
コトッと音が鳴ればすぐに遠ざかる足音。
部屋から出るなどましてや外出をするなど制限がかかり許されない、隔離された離れの部屋。
分かるだろうか。兄様が亡くなってから、といっても知らせを受けたのは此処に住み込むようになってからだが、自由など無い。
あなた

ありがとうございます

耳に届かなくなった足音に形ばかりの礼を述べる。
最低限の物は揃えてあり食事も出される。何がしたいのか考えていることは分からないが流れに身を任せるのが安全だろう。
だから高望みなどしない。機械的に規則正しく送られる生活を過ごす。
障子襖に手をかけて運ばれた食事をとる。温かみの消えかけた食事に箸を伸ばす。
あの日から変わらない。いや、もっと前から知っている。初めからそうであったように。
あまり喉を通らず箸を置く。縁側の通りに置けば誰かしら持って帰るだろう。
それすら許され無かったのだら。