沖田side
素敵な兄様でしょう?
そう口元を緩め微笑むが、無自覚なのだろう
寂しげで瞳の奥で何を思い浮かべているか
何にしろ過去のことには変わらない
目を見てしっかり受け答えをする
近藤さんの暗殺を計画した関係がないか、手引きしてないか
そもそも何故履歴書に彼女の記述が書き込まれていなかったのか(兄弟として性別等あやふやにしたのか)
そう疑いをかけ1年3ヶ月かれこれ住み込ませているがこれといった行動も発言も証拠もない
幾つか質問をしながら言葉を探り考えを巡らす
…といっても随分昔のことでしたが
言葉に詰まらせた
全部が全部信じている訳じゃない
信用なんざ微塵たりともない
ない…はずだが
仮に本当のことなら大問題だ
疑いをかけられ縛り付けられている
勿論今まで自由に行動させた覚えはない
夕食を片付けスタスタと通路を歩く
嘘だとも考えられる
それでも何かに買われる使命感か
いや、知りたいのだ
あの瞳の奥を
瞳の奥で何を考えているのかを
雲に見え隠れする朧気な月のように
やりたいことが曖昧だ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。