第12話

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2019/12/11 13:13
校内にあるベンチでたばこを吸っていたら雨がポタポタと流れてきた














ああ、ついてねーなと思って校舎の屋根の下に隠れた










さっき彼女があいつに向けていた笑顔が忘れられない














「あいつのこと好きなんかな」と言葉が漏れる
















雨がさっきのポタポタ雨と違ってザーザー降るようになった


















たばこの火はいつの間にか雨の湿気で消えていた












雨が止む気配なんて見当たらない










もうこのまま駐車場まで雨に濡れていこうそう思って飛び出したその時だった

















「あの!!」











幼い子どものような優しい声が後ろからして俺は振り返った
















「永瀬くん?」











俺はびっくりして一瞬フリーズした










その声の持ち主は俺の会いたかった彼女だったから




















廉「小花、さん、」














「はい」










と言って彼女はにっこり微笑んだ














廉「な、なんでここにおるん?!」



びっくりして少し焦った


















「帰ろうとしたら永瀬くんが傘持たないで飛び出していくの見つけたから、つい、」











俺のこと見てくれはったんかな、と少し期待してしまった














廉「そんな、見過ごしてくれてよかったのに」










「永瀬くんを見たら永瀬くんを追いかけたくなっちゃって、」






そう言ってへへっと笑った彼女は今世界一可愛い












廉「俺も今日ずっと探してた」







少し彼女の顔が赤くなった気がした







「永瀬くん冗談上手いね、笑」









廉「冗談じゃないよ、?」











「あ、この傘使って?私ロッカーに傘もう一つあるから!」












廉「待って、」










彼女の腕を咄嗟に掴んだ











廉「車で送ってく」








「そんな、申し訳ないよ」







廉「俺が送りたいだけ」








「あ、ありがとう」








彼女は少し恥ずかしそうに下を向いてこう答えた












俺も全身が熱かった

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