そして私から世間で言うお誘い。をしたお昼になった。
『あなたちゃん!!』
「今行きます!!!!」
そして先輩がいるところに向かった。
でも一向に動こうとしない先輩。
「……?どうしたんですか?行かないんですか?」
『ん。』
その言葉とともに差し出された手。
これは手を繋げ。
ということなのか?
…先輩って意外と……S?
『…さっき……男と…話してた……』
たったそれだけ?
それだけで妬いてくれたんですか?
先輩。可愛いんですね。意外と。
この短いやり取りで色んな先輩をしれた気がして
なんだか嬉しくなった。
そうこう考えているうちに時間は止まることなく進んでいて
手も繋がずただぼーっと考えている私を見てなのか
先輩はほっぺをぷくーっとリスみたいに膨らませていた。
「あ…先輩ごめんなさい。考え事してて…」
『ねぇそれって俺のこと??』
唇が触れてしまうんではないかというくらい
整った顔がすぐ目の前に。
人間の本能的なもので一歩後ろに下がった。
「……違いますよ。違います」
『何最初の間。怪し~…』
「せ、先輩っ!!はやく行きますよ!!」
『うわ~話逸らしたー!!!!』
先輩の言葉を無視してずかずかと屋上へと向かう私を
後ろから爽やかな走り方で追いかけてきた先輩。
何もかもが爽やかでこんな先輩の隣にいたら
爽健〇茶しか飲めなくなりそう。
『ねぇ?怒ってるの?可愛い』
「怒ってなんかないです」
『じゃあ…照れてるの?俺に当てられちゃって。』
「なっ…そんなことないです!!!」
『照れてるんだ?可愛いね?』
「先輩お世辞はよしてください」
『俺本気なんですけど。』
「知りません」
『知らなくないでしょ。ほら。』
そういい先輩の手が私の顎に触れ
顔が少し上がった。
「先輩なにすっ……?!?!」
『…何?期待しちゃった?笑』
あと1ミリで唇に触れる。そんな所で先輩は顔をとめた。
『姫のここに触れるのは付き合ってから。』
先輩のこの言葉を聞くと毎回
本当に大切にしてくれてるんだな。としみじみ思う。
『さ。時間無くなっちゃうし早く行こうか。』
そしてやっとお昼ご飯にありつけた。
先輩との時間はあっという間で
すぐ時間になってしまいなんだか寂しい。
『…あなたちゃんさ。』
「はい。」
『今日の放課後空いてる?』
「えっと……」
今日の放課後は~……あ。菊池先輩とお茶するんだ。
先輩からのお誘いはとても嬉しい。けど……
「先輩ごめんなさい。とても嬉しいです。
ですが先約が入ってて……」
『ねぇそれって菊池?』
「なんで知って……?!?!」
『なんとなく。あなたちゃんのこと好きすぎて分かっちゃったのかな?』
なんて変なことを言ってる先輩は放っておいて
「俺も行く!!」なんて言い出す前にさっさと帰ってしまおう。
『あ!あなたちゃん待ってよ!!!』
「用事思い出して!!」
『……ふん。いいもん。下駄箱でずっと待ってるし。』
早く帰ろうとしか思ってなかった私はこの言葉が聞こえなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!