坂田side
目が覚めてベットから起きると、まだ夜中。
横にはスウスウ寝息をたてる志麻くんがいた。
志麻くんの顔にかかる髪をそっと手でずらす。
長いまつ毛が小刻みに震え、大きな目から泪がこぼれた。
涙を拭おうとした俺の手がピタリと止まる。
志麻くんは未だに「センラ」について教えてくれない。
でも、俺は知ってる。時々志麻くん、部屋で泣いてるもの。
それに、志麻くんがいっつもつけてるネックレスがあるんやけど、その中の写真見ながら泣いてるから、あの写真の男がセンラなんやと思う。
本当は志麻くん、俺を受け入れてないと思う。
俺との行為中、全然笑わんの。
話してる時も、微笑むって感じでニコッと笑ってはくれない。
志麻side
なんだなんだ。
なんか怖いな。
黙り込む俺。
そっと起き上がった俺は、俯いて黙っていた
仕方なく俺は語り出した。
俺は顔をおおって泣き出した。
狂ったように喚き散らす俺を、坂田さんは優しく見ていてくれた。
俺の額に坂田さんの唇があたる。
坂田さんの大きな腕に俺の体が収納された。
暖かい。久しぶりだ。こんなに暖かいのは。センラ以来だ。
彼の背中に手をまわして体を密着させた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。