『君僕〜favorite〜』
*1*
弥生「ねぇ、最近……あの人、よく見かけない??」
いつメンの弥生が “ いっしょといれ ” の帰り際に、そう言い出した。
〇〇「えっ?、、どの人??」
弥生の視線を たどると、
隣のクラスの扉に寄っ掛かり、スマホを見てる…
いや、
スマホは何かのカモフラージュ?
そんな風に思わせ、
チラチラと周りを気にしてる感じの人が居た。
*2*
〇「あぁ!、、濵田くんだよ!、ふふっw なんか不審だねww」
私には、そんな彼の行動が面白い。
あっ!ww
私と目が合うと、クシャッと笑顔になり、
濵「っ///、、よ、よぉっ!」
と、スマホを持った手を挙げた!
スポンッ!!!
〇「えぇぇ〜〜〜〜っ!!!ww」
そ、そんな事って、あるぅぅぅ??
「よぉっ!」と濵田くんが挙げた右手から、
彼のスマホは綺麗な弧を描いて…
冬場なのに、たまたま開けてあった廊下の窓から、寒空へと飛んでいった!
*3*
濵「ッ!!!うわぁぁぁぁぁーーーーーッ!!!」
慌てて、そこに居た生徒を掻き分け、窓の外を見下ろす濵田くん。
〇「だっ!大丈夫〜ぅ??」
私も駆け寄って、濵田くんの隣。
窓の外を見下ろした。
濵田くんのスマホは、下の先生専用駐車場に停めてある、車と車の間。
ちょうど1台分、駐車されていないところに落ちていた。
濵「っ///、、とっ、とって、、取ってくる、、わゎぁ〜//」
シドロモドロに言葉を発すると、引きつった顔で、走って行った。
ふふっw
サスガの濵田くんも、コレには恥ずかしいんだなww
引きつった顔が、真っ赤っかだったよww
弥生「濵田くんって……いつもあんな感じなの?」
〇「うんっ!!!めっちゃオモロイよねぇ!!!」
*4*
親友の弥生は、引っ込み思案で人見知りちゃん。
男子とは、ほとんど話さない。
てか、話せない?、、のかな…?
でも、私には無い女子力の持ち主で、綺麗な顔立ちで「クスリっ♡」と笑う。
『ザ・SEISO』(清楚)と、私達いつメンでは言われている。
教室のいつメンの中へ戻ると、
弥生「濵田くんって、面白いんだね〜?」
一同「・・・・・」
男子の話しをした弥生に、みんなビックリし過ぎて、固まってしまった。
〇「そ、そうなんだよね〜いつもあんな風に天然ちゃんだし!、、あ〜…部活でもね、本番に弱くて、上手いのにスタメンでは使ってもらえないのよぉ〜w」
弥生「バスケ部なんだぁ〜w 見てみたいなぁ〜♡」
ッ!!!
弥生の語尾に、♡付いてた!!!
「じゃあさぁ!放課後 観に行こうよ!、、私も濵田くん見たい!!!」
「イイよね?、、〇〇っ?!」
*5*
みんな、弥生が興味を持った男子に、興味津々なんだな、、、
〇「べ、べつに、、い、イイけどぉ…?」
そうは言ったものの…
「濵田くんを観に来た」なんて本人に知れたら恐らく…
緊張しまくって、ロボットダンスみたいな動きになっちゃうんじゃ…
______
流「〇〇〜 いっしょいこっ!」
同じバスケ部の流星くん。
こちらもまぁまぁの天然くん。
で、まぁまぁの おしゃべりくん。
〇「あれ?、、濵田くんと望くんは??」
カバンを背負いながら、流星くんと教室を出た。
流「ふたりとも呼び出し〜」
〇「先生に?」
流「濵ちゃんはな。望は、、照史の幼馴染に呼び出されてん。」
〇「へぇ〜」
*6*
流「ここだけの話な?、、望、その子の事、好きなんよw」
〇「へぇ〜」
流「あの図体で、スキップしながらルンルンで行ってもうたわw」
〇「へぇ〜」
流「もうすぐバレンタインやからなぁ〜w アイツらみんな ソワっソワしとんねんw」
〇「そっかぁ〜バレンタインかぁ〜」
バレンタインと聞いて、弥生ちゃんを思い出した。
流「なんやねん?、ため息ついて?」
〇「えっ??……私…?」
流「ふふっw 〇〇って分かりやすいな?ww」
〇「、、君…そういうトコ 鋭いよね……実は友達がね…」
私は、友達が興味で、濵田くんを観に来る事を話した。
流「ふ〜ん。。濵ちゃんには言えんなw」
〇「でしょぉ?……“ やっぱ断ったら良かったのかなぁ〜?”って考えててさぁ、、」
流「それで、ため息かww」
〇「そぉなんっすよぉ、」
*7*
また、ため息をつき、肩を落とす私の顔を、流星くんが覗き込んだ。
流「〇〇って案外、繊細なんやな?」
〇「っ//、、な、何よそれっ//…案外は失礼でしょ!」
私は、めっちゃ側だった流星くんの顔を、見られなくて…
慌てて背けて強がった。
もぉ!
無垢な笑顔、向けないでよっ!!!
この天然くんは、厄介だわ、、、
部活が始まると、何となく集まるギャラリー。
お目当てはツイン。
日常だから気にしない様にしてる。
でも その日は、日常とは違う点が多かった。
濵「望?、、なんか…大丈夫か?」
望「大丈夫、大丈夫…」
濵「体調 悪いんか?」
望「は??大丈夫や、言うてるやん!」
望くん らしくない…
なんか、おかしい…
望くんは そのまま、タオルと飲み物を取りに行った。
*8*
私は、濵田くんと流星くんと目配せを交わすと、望くんに話しかけた。
〇「私、、個人情報は守る主義だから。」
私は、望くんとその場を離れ、体育館裏で話を聞いた。
望「〇〇は……好きな人の幸せって、、願えるか?」
あ〜、、照史くんの幼馴染のコトか…
〇「う〜ん??、、どうだろう?」
望「俺、ずぅ〜っと好きな子がおって、でもその子にも、ずぅ〜っと好きなヤツがおって…ソイツも その子の事好きやから、早よ くっつけばええのにって思っててん。」
望「くっついてくれれば、俺の想いも…楽になるやろなって…」
望「せやから、その子の告白に協力するって、約束したんやけど…」
望「自分が納得してした約束やったはずやのに、、、胸の内を、知らんモヤモヤが覆ってるんよ。、、そんでイライラしてもうて…」
*9*
階段に座ってる膝の間だけを見つめている望くんは…
いつもより少し、
小さく感じた。
〇「、想いって…楽にはならないのかもね?」
小さな子にしてあげるみたいに…
私は…望くんの頭を撫でた。
穏やかな望くんが、
いつも皆んなにしてあげているように。
〇「頑張って、、、伝えてみたら?」
望「へぇっ//?!!!、、、つた、える…?」
〇「…うん。想いを。」
望「ありがと。、、考えてみる。」
そう言って、いつもの笑顔を見せてくれた。
体育館へ戻ると、部員達は休憩時間に入っていた。
「〇〇〜!!!」と呼ばれ振り向くと、いつメンが、超が付く程の笑顔でいた。
〇「やっぱ 来たんだ…?、」
私は思わず、そんな言葉を ボソッ…と呟いていた。
*10*
近寄ってきた友達の第一声で、彼女たちの超笑顔の理由が分かった。
「〇〇って…望くんが好きなんだぁ〜!?」
いつメンだからか、そんな事だろうと勘付いてはいた。
〇「はぁぁぁぁ〜……違うよぉ…」
「じゃあ何でコソコソと体育館裏で話してたの?、、頭ナデナデしてたのぉ〜??」
〇「コソコソじゃありません。これもマネージャーのお仕事です!」
「えっ!マネージャーなら、頭ナデナデできるの!、私もマネージャーやろっかなぁ〜?」
おふざけだと解っていた。
けど…
私は、ここまでくるのに、結構 努力した。
部員と仲間になる為には、その心に寄り添い信頼される事が重要だったから。
男女だからこそ、難しかった。
皆んなは知らないだろうけど…
「〇〇ってさ?男友達 結構いるけど、そういう話し聞かないじゃん?、、恋愛とか…興味ないの?」
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!