第10話

『 shackles 』J×⭐️ ①
625
2019/06/01 09:03
『君僕〜shackles〜』

*1*



伊:それ、かなりの束縛じゃな〜い?





酒も入って、、、
よく言えば『いつもよりも大らか』になった、猫型友達の伊野ちゃんに、ニヤつかれながら言われ…



俺は初めて気付いた。




伊:俺だったら、そんな彼氏、窮屈でイヤだなぁ〜

八:お前みたいな、無干渉なネコみたいなヤツの彼氏になんて、ぜってぇーなりたくないわ〜〜w




なんて、冗談まじりで返してるけど…








内心は…









〇〇も…
俺の彼氏なんてイヤなのかなぁ……









不安が台風並みに強い勢力で渦巻いて、、、












俺の中身を掻き乱していた。








*2*




八:あ〜…あのさ?

〇:…??……どした?




モジモジしちゃって、言い出せないなぁ…




〇:あ〜分かった!、クリスマスプレゼントが決まらないんでしょぉ?ww





そんなもの…


もう二ヶ月も前から予約してる。





はぁぁぁ〜〜っ…



こんな事も言い出せないなんて……俺って、度胸ないな…





〇:…違うの?……じゃぁ…何??





言葉に出来ないせいで、自分への苛立ちが募る。




八:まぁ、いいや……何でもない…

〇:えぇ〜、なぁによぉ〜?、きぃ〜にぃ〜なぁ〜るぅ〜〜ww




おチャラけた言い方。
まるで、不安を覆い隠すかのようだった。




八:ホント、何でもないよ。




いつもなら…


〇〇を安心させようと、体が勝手に笑顔を作るのに…








できない。




*3*





〇:…何かあったんでしょ?、、話してよ?




本気で心配してくれる〇〇。




こんな彼女が、俺を窮屈がってるハズがない!!!




八:ごめん…ホント…何でもないんだ。



俺は、〇〇を抱きしめた。


心から、ホッと声が漏れたのが分かった。





彼女の香り…
柔らかな髪…
触れ合う頬の感触…




脇に回る彼女の手も全て、俺には癒ししかなかった。




*4*




〇:今夜、忘年会だから…遅くなる…




いつもなら、ヤキモチを前面に出して、
「えーーーッ!ヤダっ!」なんて、ワザと〇〇に抱きつくんだけど…


だって そう言うと、照れて可愛い〇〇になるから!




でも…


昨日、〇〇を抱きしめて、安心して、、、

俺たちは、上手くいってる。

そんな確信が芽生えたから…




八:うん分かった!、、じゃあ〜俺も、晩飯外で済ませるよ!



あっさり受け入れ、素直に笑顔を見せた。












仕事終わりに、
今日、達成したノルマのお祝いも兼ねて、同じ部署の仲間と居酒屋。



課長:今夜は俺の奢りだからな!遠慮なんかして呑まない奴は、、、クビだぁ!!!


気を良くした課長からのブラックジョークもあり、いつもよりジャンジャン呑んだのは、言うまでもないww



☆5☆


後輩:あのっ//、、先輩!、、、悩み事があって…相談があるんですけど、この後 空いてますか?


3年後輩の女の子。

真面目で頑張り屋で、、、
社内でも評判がいい子だから、狙ってるヤカラも数多いんだけど…

それ系の話しは、聞いたことがない。


八:おん!空いてるよ!


俺は、気前よく答えた。






相談の内容は…
告白を断ったのに、しつこくしてくる同僚に困ってると言う話しだった。




八:彼氏とか居たら、諦め付くんだろうけどな?
後輩:…か、彼氏//、、ですか…?
八:居ないの?誰か、好きな人?
後輩:えっ//、、、います…よ//
八:じゃぁ、もう告っちゃえば?…まぁ、告白なんて、軽くないかもだけど。


恋して照れてる後輩を、俺は微笑ましく感じていた。


八:頑張れよ!


と、エールを送り、背中を押した。





☆6☆


家に着くと、〇〇の方が先に帰っているらしくて、外から部屋の灯りが見えた。


なんだか、それが嬉しくて…


ガチャッ!!!


勢いよく玄関を開け「たっだいまぁ〜っ!」と〇〇が居るであろうリビングへ向かった。



が、、、アレ??



隣の寝室を見ると…


帰ってきた服のまま、ベッドに伏せて、眠っている〇〇が居た。


〇〇を見つけた俺は、自分の居場所を見つけたようで、また安心した。



八:こんなところで、風邪ひくよ?


っ!!!、、えっ…泣いてる……の??


〇〇の頬には、涙のすじが残っていて、伏せていたシーツは濡れていた。



どうしたんだろう??



〇:…ん……光くん…?、、おかえりなさい。
八:う、うん…た、ただいま。…こんなところで…か、風邪ひくよ?!
〇:…うん…酔ってたから……私、シャワー浴びてくるね…





俺は「うん」と返事をしただけだった。




☆7☆



聞けなかったんだ…


どうして、泣いていたのか…




酔うと必ず、俺に絡んでくるのに…

首に腕を回して、潤んだ上目遣いで、、、
「ねぇ…キスしていい?」な〜んて可愛く///




今のは、それどころか、、、

俺と、目も合わせてくれずに…
まるで…この場から、逃げるように…









どうしてなんだよ……?








心はもう、不安の台風に掻き乱されていた!








態度が変わった彼女。

真っ先に思い出したのは、、、




「俺だったら、そんな彼氏、窮屈でイヤだなぁ〜」











そんな事……あるはず…………










その日から…


〇〇が遠い存在だと感じる様になった。





☆8☆



後輩:先輩?…今夜の忘年会は参加ですよね?



あ、そっか。
ウチの忘年会、今日だったか。

〇〇に言ってないな。
まぁでも…大丈夫だろう。

一応、メールしとけば。


最近の〇〇の様子から、俺は そう思った。




八:あ〜うん!参加で!…幹事頑張って!
後輩:は、はい//!!!




以前なら、こんな事は思わなかった。

ひとり淋しく待たせるなんて、
俺の方がどうにかなりそうだったし!


事前に知らせておいて、淋しくならない様に友達と一緒に過ごしてもらったりしてたのに…

どこで誰と、何をしているのか。
いつも教え合っていた。

これが束縛だったのか?

だとしても…
お互いの居場所を把握しておきたかったんだ。



大切だから。








なのに…
何がいけなかったんだろう……?


ふたりの歯車が噛み合わなくなってしまったんだ。









〇〇は今…どこで何をしているんだろう?








☆9☆


後輩:あの〜〜??、、、先輩??
八:…えっ?……何??
後輩:サラダ取り分けますから、先輩のお皿ください、、って言ったんですけど…
八:えっ!あ!ごめん!…ありがとう。
後輩:・・・・・





〇〇の事ばかり考えてしまう。


あぁぁぁ、、、
早く帰って〇〇に会いたい。






〇〇は、俺に会いたいなんて、、、






思ってないかも知れないけど。。。






〇〇の変化を思い返しては、ため息をついていた。








噛み合わなくなった歯車。。。








もう、、、









戻らないかも知れない…








気づけばまた、、、
そんな事ばかり考えていた…





*10*




後輩「_____んぱいっ!……もぉ!先輩ってばっ!!!」







八「ッ//!!!、、ぅへぇッッッ?!!」







店を出てもボーっとしていたらしい。

酔っ払った後輩に腕を激しく揺さぶられ、ビクンッ!とした。







後輩「次、カラオケ!、モチロン行きますよねっ?!!!」




両手で俺の腕に捕まって、顔を覗き込む…

お酒でピンクに染まる頬と、トロけたような目…

「平成最後ですよ〜」と、行かなきゃ損だとでも言っているのか…




〜♪ピロンッ♪〜

{〇:光くん遅くなるなら、友達のところに泊まろうかなぁ〜}




ナイスなタイミングで来たメール。






八「……それも そうだな!ww」





明るく返事をする俺は…
〇〇に会いたくて「帰りたい」と思っていたのが嘘のようだ。




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