『君僕〜behind〜』
*1*
キレイな…
うなじ…
昨日とは髪型が違う。
ただそれだけで…
胸が跳ねる…
きゅんっ//……♡
*2*
流:ほい!
〇:えっ//…………あ!…あ、うんw
急に振り向いたから…
一瞬、戸惑っちゃったww
プリントかw
流:ふふっw
っ!!!えっ?!!!
笑われた??
私いま、流星くんに笑われた??
先生:あ、フジぃっ??
流・〇「「はいっ?」」
先生:藤木じゃない、藤井。
〇:ぁわッ!…間違えちゃった//
うわぁ〜〜恥ずかしぃ〜〜///
クラス中から笑い声が響いて、私は赤くなった顔を隠そうと俯いた。
流:ふふっw アホやん!
っ!!!むぅ〜〜ッ!!!
ムカツクッ!!!
流:ふふっw
あ!膨れた私を見てまた笑った!
ヤなやつぅーーーーーッ!!!
*3*
女子:〇〇〜w 流星くんの気を引こうとしてるのぉ〜?w
体育の授業前の更衣室。
気合いを入れようと、鏡の前で髪を結わえていると、クラスの女子に絡まれた。
〇:んッ//!! ホンナホトハルワヘナイッ!!!
(↑そんなことあるわけない!!!)
髪ゴムを くわえながら、私はムキになって反抗した!
女子:まぁ…〇〇はモテるからね〜ww
〇:は//…はぁ〜〜っ??そんな事、ミクロも感じた事ないよっ!
女子:後ろ見てごら〜んw
〇:へっ??後ろぉ??
女子:熱〜〜い視線、感じないかなぁ?ww
〇:…熱い?視線?
振り返っても…
誰もいなかった。
女子:はい!行くよぉ〜!
〇:あっ、待ってよぉ〜〜?
熱い視線って…
なんだ??
*4*
1㎞走を、何本やらされたんだろう…?
その日の体育は地獄だった。
〇:はぁぁぁ〜〜っ……疲れたよぉ…
着替えると、ふと気が緩んでしまい、更衣室のベンチに座り込んでしまった。
〇:あ"〜もぉ〜授業やだぁ〜〜!!!
女子:〇〇遅れるよ?
〇:はぁーーぃ。。。
渋々 立ち上がり、前を歩く友達の腕にしがみついた。
女子:重〜〜い!
〇:いいじゃ〜ん!連れてってぇぇぇ〜〜!もぉ〜歩けなぁ〜い!
女子:あ、流星くんだ…
前を歩くのは、男子更衣室から出てきた流星くん。
女子:〇〇重いから〜流星くんに引っ張ってもらいなよぉ〜w
〇:エッ!なんで流星くんよ!やだやだ!あんなヤツッ!!!
女子:じゃぁ………藤沢くん??
〇:え…藤沢くん…?
って、確か……
後ろの席の…
*5*
確か…後ろの席の…
いつもニコニコしてる、良い人そうな…?
まぁ〜流星くんよりかは…優しそう…
イジワルな感じも無いし…
可もなく…
不可もなく…
女子:イイところに来たっ!藤沢くん!
ちょうど、そこを通りかかった藤沢くんに友達は…
女子:席近いから、藤沢くん引っ張ってあげて!もう歩けないんだってぇ〜ww
藤沢くんの腕を取り「ここ持ってね♡」と、可愛らしく言うと…
女子:お願いね〜サヨナラぁ〜ww
と、手をヒラヒラ振りながら先に行ってしまった。
……え………なんで……?
藤沢くんは、私の腕を掴んでいた。
*6*
藤沢:っ///…だ、大丈夫なの?……辛いなら…保健室行く??…お//…俺、一応…保健委員だし!
〇:ぅへぇッ?!!
思ってもなかった優しい言葉に、変な声が出てしまった。
〇:…や、大丈夫!…歩けるし…
なんだか…
真面目に対応してくれる藤沢くんに、悪い事をしている、そんな気がした。
〇:…あの……手…離してくれるかな…?
藤沢:っ!あっ//!!!ごめん!!!
パッと離された腕。
〇:…あ〜……なんか…ごめんね?
藤沢:っ//…う、ううん。…藤木さんが大丈夫なら、いいんだ///……教室 戻ろっか?
そう言うと、藤沢くんは笑った。
藤沢くんって…
もしかして…
*7*
教室に着くと同時にチャイムが鳴り、先生が慌ただしく入ってきた。
「急用で出なければいけない」と言い、先生は有無を言わさず、テストを配った。
そんな急過ぎるテストに、クラス中からはブーイングの嵐だったが…
先生は、本当に急用だったのか、私達に何も構わず行ってしまった。
流:ぁん…
虫の居所が悪いのか、ぶっきら棒にプリントを渡す流星くん。
それを普通に受け取ろうとした時…
っ!!!
プリントが手に触れる直前に、引っ込められた!
「アホやんww」いつもならそう言って鼻で笑うくせに…
今は違う。
眉間にシワを寄せて、私の顔を見てる。
お、怒ってるの??
私、怒られる様な態度だったかな??
プリントを渡す素振りがないのに、シビレを切らした私は…
〇:早く渡してよッ!!!
と、手を出し 強目に言った。
*8*
そんな私の態度に、ピクリとも揺るがない表情で、私から目線を外した。
えっ?
後ろを…睨んでる…?
そのまま、無造作に渡されたプリントを回すと同時に後ろを確認した。
そこには、ニコニコと、まるで私を待っていたかの様な藤沢くん。
でも…
なんか、いつもと違う。
藤沢:あ!ありがとう♡
優しい藤沢くんに、可愛く「ありがとう♡」なんて言われたら…
悪い気はしなかった。
私は無意識に、ニコッ!と返すと、前に戻った。
っ!!!えっ!!!
流星くんは まだ、眉間にシワを寄せて、こっちを見ていた。
私が藤沢くんに、ニッコリしてたのがバレると…
なんだか、悪い気がした。
てか…
なんなの?
もぉっ!!!
*9*
35分が過ぎ、テストの見直しをしていると…
「終わったか?」と、さっきの表情で聞いてきた。
〇:はぁ?チョット見ないでよ!
流:見とらんわ!終わったか聞いとるだけやろッ!!!
先生:おい、そこっ!話すんじゃない!
監視に来ていた先生に注意されると…
流星くんはスタスタと教卓まで行き、自分と私のテスト用紙を、バンッッッ!!!と勢いよく置き「終わりました…」と一言、先生へ向かって吐き捨てた。
私は何がなんだか分からず、目をまん丸くしてると…
流:お前、チョット来い!
と、手首を掴まれ…
クラスメイト全員が注目する中…
〇:っ!!!…えっ///…な、なんで?
流:ええからッ!!!
連れ出された//……!!!
*10*
その手を、振り解く事も出来たはず…
なのに私…
チョット強引な流星くんに…
悪い気はしなかった。
と言うよりも、むしろ…
ドキドキが止まらないっ///……!!!
ぐいぐい引っ張る流星くんは、ひと気がない場所まで私を連れて行った。
かと思ったら…
いきなり、壁へと追いやられた!
流:その髪…何でや?
は、はぁ??…か、髪??
体育のまま、ポニーテールにしてある髪の事??
相変わらず眉間にシワを寄せながら、訳の分からない事を聞いてきた。
〇:え、えっ?
流:後ろのヤツ、誘ってんのか?
〇:う、後ろって…?
流:は?気付いとらんのか?
〇:う、うん…
何のことだから分からず、私は「ごめん」と謝った。
*11*
流:俺は、気付いとったで?
〇:…えっ?
そう言うと…
流星くんの長い腕が、スグ横の壁へと伸びてきた。
っ!!!
必然と近くなる 綺麗な顔に、私は目を向けられ無かった!
流:お前…いつも、俺を見とったやろ?
〇:ッ///!!!
そうだ。
私…
いつも、流星くんを見てた。
たぶん それは…
好きだから///…
私…
自分の想いに、やっと気付いた…
視線を上げると…
流星くんの瞳に、思わず見惚れてしまった。
そんな私を見て、ニヤッとすると…
流:ずっと…俺だけ見てろよ…
と、そんな言葉に照れまくりの…
ファーストキスが降ってきた…♡
🐎fin.🐎
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。