『君僕〜mischievous〜』
*1*
なんかさ〜?
いっつも スカした顔して?
クール感漂わせて?
ハプニングがあった瞬間、
「あわわっ…どぉーしよっ?」なんて、可愛子ぶって慌てたとしても?
結局はスマートに解決しちゃう?
そんな人が隣の席なんて…
つまんないっ!!!
*2*
ドスッ!!!
裕:うわぁっ!!!何すんだよぉ〜ww
冷水機に、ちょこっとだけ唇を尖らせて、喉を潤していた中島くんを見つけた私は、ワザと狙ってやった!
〇:ぷぷっww ごめんごめん!気づかなかったぁ〜〜w
きっと このイケメンは、
通りすがりにサラッと飲んで、爽やかに立ち去ろうとしていたんだろう。
そんな つまらん事、阻止してやったわぁっ!!!
とは言え…
中島くんのワイシャツの胸元は…
裕:あ〜あ……びっしょびしょッ!!!
アゴに付いていた最後の一滴を、手の甲で拭き取りながら…
本気で怒っているんじゃない感じで、私を責めようとしていた。
*3*
中島くんは怒って無さそうだけど…
さすがに濡れすぎ…
こりゃあ……やり過ぎた…
裕:こんなんじゃ、授業 受けらんないじゃ〜ん…
〇:…ご、ごめんね……
やり過ぎてしまった事を、速攻後悔していた私は、すんなりと謝っていた。
そんな私に、中島くんが切り返した言葉は…
意外にも……攻撃力ゼロだった。
裕:じゃあさぁ……そ、そのタオル貸してよ…?
〇:……え?
不思議な感覚だった。
中島くんは…
少しだけ戸惑いぎみに言ったその一言と…
少しだけ戸惑いぎみの その表情で…
私の行き過ぎたイタズラも…
後悔していた事も…
全てを……チャラにさせた。
*4*
〇:う、うん!
チャラになった途端、いつもの私のキャラが蘇る!
〇:あ!じゃあ私!拭いてあげるっ!!!
「イイことひらめいたぁ!」と言わんばかりの起点で、持っていたタオルで、中島くんの胸元をポンポンと拭き取り始めた。
こりゃあ…
結構、びっしょりだわ…
と、拭き始めて再確認した。
私…
なんでこんな、イタズラしちゃったんだろう…
キーンコーンカーンコーン♪
チャイムと共に、廊下に居た生徒達は、急に忙しく移動し始めた!
早くしなきゃっ!!!
そんな焦りが、不安となって襲う。
〇:…ほ、ホント……ごめんね……?
あ〜また…
いつものキャラが何処かへ居なくなっちゃった…
自分のペースが、どんどん乱れていくのが分かる。
こんな事が…したかったんじゃないのに…
*5*
裕:〇〇ちゃん……そんな顔 するんだ…?
〇:えっ///
賑わっていた廊下には もう誰もいなく…静まり返っていて…
中島くんの言葉と…瞳は…
まるで 私に向けられた…
イタズラ。
いや…
仕返しだ///…!!!
〇:…そ、そんな…顔……って//
さっきまで触れていた胸元のタオルが行き場をなくし…
その反応を見て……ニヤッ……としたその瞳は…
いつもとは まるで違う…
中島くんの裏の顔を見たみたい//
裕:…可愛いんだね?
〇:っ///!!!
至近距離での…その仕返し…
まだ続くの…///……??
👕 fin. 👕
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。