第12話

『 commonplace 』J×🍀
606
2019/06/02 03:58
『君僕〜commonplace〜』



*1*




「時間、ないけど…」と、呼び出された。









会うのは照れ臭い。






昨日の今日だから、、、かな…?






アイドルの彼と、プライベートの彼。






どっちも好きだから。。。






*2*




昨日。




私は、彼氏ができて初めて、JUMPのライブに参戦した。




地元での開催に、、、
チケットが取れた時には、心がはち切れそうなくらい嬉しかった!






______



待ち合わせ場所には、帽子にメガネで変装した彼。



遠目で見たら…

背が高くてスタイルも良い…モデルさんみたい。

モデルさんが、身分を隠してる感じで…逆に変装が目立ってるww






〇「お待たせ。」



薮「お!…待ってないよw」




いつも通りに ニコッ!としてくれる彼は、舞台上のアイドルスマイルでは無くて…


どこか抜けている雰囲気を かもし出していて…


合コンでも売れ残りそうな…イイ人止まりのお兄さん的なww






薮「1時間くらいしかないから…カフェでも行こうか?」
〇「うん。いいよ!」



*3*


「こっちかなぁ〜」なんて言いながら、一歩 踏み出そうとする彼の、行く方向へ着いて行こうとすると、、、



私の冷たい左手は、ふわっ…と暖かい右手に包まれた。





薮「いっつも冷たい。」





まるで…



“ これだから〇〇は放って置けないんだよ”
“俺が暖めてあげないとダメなんだから!” なんて言わんばかりの一言だ。




〇「ふふっw 宏太くんが居ると暖かい!」




なんて、持ち上げてみたww




薮「だろぉ?//」
〇「っ!///」




乗せられて照れた彼の、赤くなった顔を見たら…

私まで、照れちゃった//





〇「……う、うん…ありが…と//」




こうして会うのも久しぶりで…
本当に久しぶりに手を繋いだせいか、、、



そんな新鮮さが、ふたりを盛り上げた。






いつまでも…


こんな ふたりで、いられないかなぁ。。。




*4*



海辺が見渡せる窓際の席。


ゆったりと、時間が流れる感覚で、並んで座った。



彼の手が離れ、また冷たくなった指先を、カップで温める。



ふぅ〜、ふぅ〜、、、
まだ熱いカフェオレを冷ましながら…

猫舌を覚悟して、
そぉ〜〜っと、、、ひとくち、




〇「っ、アチ!!!」



やっぱりかぁ、、、

なんて、ヒリヒリしてる舌に後悔してる私に…



薮「ふふっw いっつもそうww」





あ、、、また言われた、、、






会話もなく、、、

ただ…冬の太陽が優しく届く水面を、見ているだけ。。。








心地いい沈黙だった…









*5*





薮「クリスマスは?」




彼の言葉は…
流れる時を止めるかの様だった。




〇「…だって……ライブでしょ?」






仕事の邪魔はしたくない。

彼女だということだけでも…ファンの子たちには後ろめたい気持ちで、いっぱいなのに…





ひとりのクリスマスなんて、、、当たり前。












薮「招待するって言ったら……来てくれる……?」


〇「えっ…」







アイドルとの恋は…



たったの 一歩だけ、、、
それだけ進むのでさえ、難しい。







彼の表情は…どことなく不安そうだった。






〇「…それって、、、」



薮「マネージャーに言ったんだ。」








薮「……まぁ、やっと、って感じで…ゴメンな?」



いつもこうやって…
すまなそうに、自信なさそうに言う彼が、、、




私には宝物の様に思える。





*6*



この2年間。
私達は、出来るだけ ひっそりとしていて、


彼の家にも私の実家にも、来たことはない。
できるだけ、ひと気のない場所で、

ドライブとか…
誰とも会わない、離れの宿とか…

少しの時間とは言え、待ち合わせてカフェなんて…2回目くらいだし。










薮「俺…最年長だからさ…」








彼がポケットから出したもの…


一瞬、何が起こったのか、分からなかった!








薮「メンバーに、紹介したいんだ。…俺の奥さんって……//」



照れながらそう言うと…

パカッと小箱を開き私に向け、、、




冷えた、私の左手を、そっと握った。







薮「この冷えた手を…ずっと暖めていきたいんだ……」











薮「俺だけの…お嫁さんになってください。」





すぅッ!っと少しだけ息をのむと…


時が、、、止まった、、、



*7*



こんな時に彼が見せる、笑顔は…


アイドルとはまた、別で…









私にだけ。









そう思ったら…泣いちゃって、、、








薮「……やだった…かな…??」






その問いに、頭をブンブンッ!横に振った!!!





〇「…ッ……は、、、ぁい。…ッ……」






鼻をすすりながらの私の返事は…



決して美しいものではなかった、、、







けど…







薮「ふふっw そうなると思ったw」





と、私の頭を、、、
しばらくポンポンとしていてくれた。




そんな彼の行動に、、、
私の胸は、、、ときめいた♡











こんな…ありふれた、、、
ありのままのふたりで、、、








ずっと、、、















いられますように…♡










💍 fin. 💍



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