あなたside
五条「………………………え???」
あなた「というわけで、さようなら」
僕が思いついた名案は、
『死んでここにやって来たのなら、もう一回死んだら元の世界に戻るんじゃ?』
という、なんとも完璧な名案(迷案)だ。
僕、僕が賢すぎて怖い。
んで、元の世界に戻ったら、今度こそ死ぬ。
転生してたら、もう終わりだけど。まぁ、いいか。
それで行こう。いいプランだ。
五条「ちょっと、ちょっと!?よろしくやってたところじゃない!目の前で自殺見る趣味ないんだけど、僕!!!」
あなた「あ、そうだよね。じゃあ、目瞑ってていいよ」
飛び降りるのは怖い。
死ぬのが怖い。
けど、しょうがないよな……………。
柵に登ろうとする僕に五条が言った。
五条「そういう問題じゃ………あー、あなた。家は?どこ。親御さん心配してるんじゃない?」
五条のその言葉に反射で肩がビクついた。
あなた「親…………?親なんかいないよ」
僕がそう言うと、なんだか空気が冷たくなった気がする。
五条はしばらく固まって、やっと口を開いた。
五条「え?あ、ごめん、もうこの世にいないのかな」
あなた「あんなクズのこと、親だなんて思ったことないし」
五条「……………うーん、もしかして家出?」
あなた「家、ないけど」
五条「マジ?そこまで行くと逆に笑えるねwなにそれ、ウケる」
あなた「話はそれだけ?じゃあ、死んでいい?」
五条に向かってそう言うと、何か考え込んでいた。
僕の話聞いてたかな。
ほおって置いてもう、死のうかな。
そういえば。
誰かが、転落死ってグシャッてなってすぐに死ぬから、痛いのは一瞬だって言ってた。
「あ」って思った時には死んでるんだって。
その人、死んだことあるのかな。
そう考えていると、「よし!!!」という五条の大きな声が聞こえた。
五条「君さ、呪術高専に来てみない?」
あなた「………………………え???」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!